韓国では7月の刊行直後から賛否両論の大反響を呼んでいる本書。日本でも11月の刊行以降、続々と重版がかかっている。編著者は元ソウル大学教授、現李承晩学堂校長の李栄薫氏。氏ら6人の執筆者が、多角的に韓国の反日意識形成の歴史的経緯を検証する。
「企画のきっかけは、李先生がYouTubeで配信している従軍慰安婦問題についての連続講義でした。その評判を聞いて、2年ほど前にソウルまで行き、本を出す相談をしていたんです。その後、講義のテーマが強制徴用問題などに広がり、韓国で先に本を出すことになった。では、その日本語版を出しましょう、と」(担当編集者の小田慶郎さん)
日本語版は編著者が作成。独特な日本語の言い回しなどは、韓国人ならではのモノの見方を表すものとして、あえて残した。
「『竹島』で表記統一されていた元原稿を、韓国語版と同じ『独島』表記に戻し、『日帝』という単語も残しています」(小田さん)
昨年は日韓関係悪化が話題となった。「韓国は日本をなぜ嫌う?」多くの人が抱えたモヤモヤに輪郭を与える内容が、ヒットの理由か。
「これは嫌韓本ではなく、経済史学者の李栄薫氏が中心となってまとめた歴史書です。ですから学問的な批判があって然るべきで、まだないのが残念です。今後、活発な議論を期待しています」(小田さん)
2019年11月発売。初版5万部。現在8刷40万部