新聞ウォッチャーにとって今年もたまらない日がやってきた。「成人の日」です。
新聞を擬人化すればゴリゴリのおじさん。そんなおじさんが新成人にメッセージをおくる。もう危険な香りしかしない。「おじさんはすでに成人している」という謎の絶対優位が発生するのが「成人の日」なのである。
今年はどんな激励があったのか。まずは東京新聞の一面コラム「筆洗」。
《成人の日である。門出に説教じみてしまうが、二十代が一生に最も大きな影響を与える時期だとすれば、その季節を大切に過ごしていただきたい》
説教じみてしまうと言いながらやっぱり言っちゃう。
締めはこれ。《これだけは覚えておいた方がいい。二十歳すぎると時の流れがほんと早いから。》
ああ、もうグチだこれ。
次は朝日の社説をみてみよう。
朝日の伝統芸は「若者に社会参加を促す」
「社説 成人の日に 社会は動く、動かせる」
朝日の成人の日社説といえば「若者に社会参加を促す」のが伝統芸だ。
2012年の「尾崎豊を知っているか」は最高だった。
《ああ、またオヤジの「居酒屋若者論」か、などと言わずに、聞いてほしい。キミが生まれた20年前、ロック歌手・尾崎豊が死んだ。》
いきなり新成人に絡みだし、
《彼が「卒業」「15の夜」といった曲で歌ったのは、大人や社会への反発、不信、抵抗。恵まれていないわけじゃないのに、「ここではない、どこか」を探し、ぶつかり、傷つく。その心象が、若者の共感を呼んだ。》
最後まで酔っぱらっていた。
あれから8年後、今回の朝日社説は、
《入試や就活で、大人は若者に「主体性」を求める。ならば、その前から自分で歩く力をつけてもらうために、歯がゆさをこらえ、見守る。成人の日を、大人の側がそんなことを確かめ合う機会にしてはどうだろう。》
大人の側にダメ出しを始めた。「成人の日」におじさんがおじさんに説教し始めたのである。考えてみればいつもの社説ではないか。