文春オンライン

松屋フーズ過去最高益の立役者 「松のや」社長が語る「とんかつビジネス」最前線

なぜ今、「とんかつ」が受け入れられているのか?

上海では牛めしよりとんかつの方が受けが良かった

――「松のや」のお客さんはどんな方が多いのでしょうか。

佐藤:お勤めになられている方がお昼時にいらしてくださる、というのが大きいですね。あと、ご家族連れでいらしてくださる方も多いので、さらに安心して来ていただけるよう、キッズルーム・キッズコーナーを併設した店舗なども増えてきています。

スマホの動画を見せてくれながらキッズルームの説明をする社長

――とんかつはご家族連れにも受けが良さそうな印象があります。

ADVERTISEMENT

佐藤:女性の社会進出、共働きなども増えていく中で、ご家庭で揚げ物をすることが避けられがちになっている気がします。ご家庭での揚げ物は何かと面倒なこともありますからね。この状況であるからこそ、うちのとんかつも求められているんじゃないかな、と。今後はテイクアウトについても強化していこうと思っています。「松のや」のとんかつをいかにお惣菜として認知していただけるか、目下勉強中です。

――海外展開も積極的ですね。

佐藤:はい、上海・ニューヨークにも店を出しています。特に上海では現地のお客さまのニーズにうまく合ったようで、地元のお客様に多くご利用いただいています。上海には最初、牛めしで出店をしていましたが、なかなかうまく行かなかったんです。ところがとんかつに業態を変えたらお客さまがいらしてくださるようになって。中国の方には牛めしよりはとんかつの方が受けが良いのかな、と、うちの会社としてはそういう印象を持っています。

――店舗はどれくらいの数を目標にしているんですか?

佐藤:今年も50店舗新規開店する予定ですが、最終的には1000店舗を目指しています。ただ数字はあくまでも目安。国内海外問わず、より多くのお客さまに、よりよい商品・サービスを、お求めやすい価格でお届けすることを、とこトン追求したいと思っています。

「とんかつ2020年問題」で取り上げたように、いわゆる町のとんかつ屋さんはだんだんと姿を消しつつある。しかしこのようなチェーン店の盛り上がりなどを考えると、とんかつは文化として地盤沈下しているのではなく、新しい時代に突入しつつある、と見るべきなのだろう。今までにない低価格、あるいは海外展開などといった形で、とんかつの文化的な立ち位置は新しくなっているのだ。

 しかし一方で、これは先祖返りだとも言える。明治・大正時代の銀座や上野、浅草では、屋台で「トンカツ」「カツレツ」といったものが供されていた。当時の高級な西洋料理店の「ポークカツレツ」だけではなく、一般庶民が肩肘張らず、いつでもサッと食べられる料理であることも、とんかつの大事なルーツのひとつだ。

 時代は変わる。とんかつも変わる。いま、とんかつは大変化の時代にある。

松屋フーズ過去最高益の立役者 「松のや」社長が語る「とんかつビジネス」最前線

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー