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ロイヤルファミリーが公務をさばき切れなくなる恐れ

 王族がこなした昨年の公務の数は――。

・チャールズ皇太子521回
・アン王女506回
・エリザベス女王295回
・アンドルー王子274回
・ウィリアム王子220回
・キャサリン妃126回
・ヘンリー王子201回
・メーガン妃83回

2017年9月、ウィリアム王子、ヘンリー王子 ©AP/AFLO

 フィリップ殿下が高齢のため公務から引退。勾留中に自殺した米富豪ジェフリー・エプスタイン被告の未成年性的搾取疑惑に関連してアンドルー王子は公務から解任された。

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 エリザベス女王が公務を減らす中、メーガン妃とヘンリー王子が公務を一切、担わなくなるとロイヤルファミリーは公務をさばき切れなくなる恐れがある。

メーガン妃が思い描くビジネスモデル 知名度と影響力をフル活用

(3)メーガン妃とヘンリー王子が求める「より独立した生活」とは?

「2人は女王陛下の価値を支え続ける」(バッキンガム宮殿)

 メーガン妃は「移行期間」の今年はイギリスとカナダの二重生活を送り、ドナルド・トランプ米大統領がいなくなったら北米の拠点を映画産業のメッカ、ロサンゼルスに移すとみられている。

 メーガン妃が思い描くのは、バラク・オバマ前米大統領とミシェル夫人のように知名度と影響力をフルに活用するビジネスモデル。書籍の印税、高額のスピーチ料に加え、プロダクション会社を立ち上げてネットフリックス・オリジナル映画を作成する。

 すでにメーガン妃とヘンリー王子は友人の米人気司会者オプラ・ウィンフリーさんと協力してメンタルヘルスをテーマにしたTVドキュメンタリーシリーズの制作も計画している。

 この数週間で100以上の「サセックスロイヤル」ブランドを商標登録。サセックス公爵とサセックス公爵夫人の公式アカウントとして開設したインスタグラムのフォロワーはアッという間に1080万人を突破。

 アーチーちゃんの育児にスポットライトを当てれば世界一のライフスタイルサイトになるのは間違いない。

 英大衆紙が見積もるメーガン妃とヘンリー王子の新たな収入は下の表の通り、上手く行けば年に7430万ポンド(約106億5000万円)も荒稼ぎできる。

新たに見込めるヘンリー王子とメーガン妃の収入

 英ブランドのビジネス評価コンサルタント「ブランドファイナンス」最高経営責任者(CEO)デービッド・ハイ氏は英王室の有形・無形財産について筆者に次のように解説する。

 2017年時点で英王室に属するクラウン・エステートが131億ポンド相当、エリザベス女王に属するランカスター公爵領が5億ポンド相当、チャールズ皇太子に属するコーンウォール公爵領が9億ポンド相当(いずれも大半は不動産)、絵画や装飾品などロイヤル・コレクション・トラストが110億ポンド相当。

 そして無形財産のブランド価値が420億ポンドで、総額675億ポンド(約9兆6700億円)。英王室はこの年、英国経済に17億6600万ポンド(約2530億円)も貢献している。

「英王室は象徴としても経済的にもイギリスの国宝だ。イギリスがEUから離脱した後は英連邦加盟国や他の国との貿易関係を促進させる王室外交が頼みの綱になる」

「キャサリン妃がイギリス・ブランドの衣服を着ると、アメリカ国民の37.6%が自分も着てみたいと感じるようになる。メーガン妃やヘンリー王子はそれぞれ35%と31.9%だ」

「メーガン妃とヘンリー王子の“王室離脱”がイギリスのブランド価値を下げないことを望む。2人がロンドン、バンクーバーのいずれにいても若い王族が世界に向けて持つインパクトは変わらない」

「今後もこのユニークなグローバルアピールがカップルの経済的自立に役立つ」とハイ氏は力を込めた。

©AFP/AFLO

 しかし英王室伝統のプロトコルに精通するウィリアム・ハンソン氏は「サセックスロイヤルのアディダスやインスタグラムとの金銭の支払いを伴うパートナーシップを見る限り、警戒警報が鳴り始めている。商業主義に走れば人々の共感は失われる」と警鐘を鳴らす。

 デーリー・メール紙によると、メーガン妃は英王室に嫁いだにもかかわらず、ハリウッド時代の豪腕弁護士、エージェント、ビジネスマネジャーをそのまま抱え込んでいる。これではエリザベス女王やチャールズ皇太子、ウィリアム王子、それを支える私設秘書団が手玉に取られても何の不思議はない。