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母の死を2人寄り添って乗り越えてきた兄弟の間に亀裂

 家族会議が行われた1月13日午前11時20分ごろ、渦中のヘンリー王子が別邸に現れ、エリザベス女王と1対1で話し合った。そのあと父親のチャールズ皇太子も加わり3人で昼食をとったが、兄のウィリアム王子が現れたのは家族会議が始まるわずか15分前の午後1時45分、家族水入らずの機会を意図的に避けた形となった。

 メーガン妃との結婚を急ぐヘンリー王子を、思慮深いウィリアム王子は最愛の母ダイアナ元皇太子妃の「よく知っている女の子と結婚しなさい」という助言を引いて押し留めた。その後もメーガン妃との間に見えない壁を築くウィリアム王子とキャサリン妃にヘンリー王子は不信感を強めていた。

 ウィリアム王子とヘンリー王子は家族会議の直前、英日曜紙の「絶縁」報道を否定してみせたものの、母の死を2人寄り添って乗り越えてきた兄弟の間に亀裂が入り、修復できないほど溝が広がっている現実を浮き彫りにした。一方的な“離脱”宣言もウィリアム王子が1週間前にヘンリー王子の会談申し入れを断ったのが直接の原因と報じられている。

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「私はこれまでずっと弟の肩を抱いてきたが、それはもうかなわなくなった」と伝える英日曜紙サンデー・タイムズの1面(1月12日)

 家族会議は午後2時から同3時半まで行われ、メッセンジャーアプリのワッツアップでカナダから参加するとみられていたメーガン妃は「他に誰が聞いているか分からない」(私設秘書団)という理由で外された。もちろんメーガン妃の報道官は即座に「必要がないと判断したから参加しなかっただけ」という反論を発表したのだが……。

 午後5時に発表されたエリザベス女王の声明は、メーガン妃とヘンリー王子に対して王室のプロトコルを破り、「ハリーとメーガン」というファーストネームで呼びかける前代未聞の内容となった。「家族」という言葉を8回も使い、王室制度の問題ではなく家族の問題であることを強調していた。

 メーガン妃がイギリスを逃げ出したのは人種差別があったからという批判に対して、イギリスのプリティ・パテル内相は英BBC放送のラジオ番組で「メーガン妃が英メディアの人種差別にあったという批判は当たらない」と一蹴した。

 英王室内で孤立するメーガン妃を母親のドリア・ラグランドさんは「アーチーちゃんの出産後、みじめで不眠に陥り、将来について不安発作に襲われた」と友人に漏らしたと英大衆紙は報じている。しかしメーガン妃はしたたかに自分の計画を実行に移しているように見える。

 エリザベス女王は18日の声明で民間人となるハリーとメーガン、アーチーちゃんに「最愛の家族」と呼びかけ、「この2年間彼らが集中的な詮索の結果、経験した困難を認識している。彼らのより独立した人生を送りたいという願望を支える」と述べた。

 その上で「今日のアレンジメントで彼らが幸せで平和な新しい人生を始めることを」とエールを送った。

 イギリスのコラムニストからはしかし、「メーガン妃が米俳優クリス・エヴァンスをハリー役にネットフリックスの『ザ・クラウン』でメーガン役を実演すればアカデミー主演女優賞間違いなし」という皮肉さえ聞かれる。