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白石被告に「殺してほしかった」 19歳女性が明かすその後の性被害

加害者は「無理やりやった証拠がない」と不起訴に

2020/01/21

genre : ニュース, 社会

「裁判で結果が出ても苦しみは消えないかも知れません。でも希望が少しでもあるから勝つために頑張ろうって思います」

 こう話すのは、埼玉県在住の直美さん(仮名、19)。2年前、2018年1月に起きた性犯罪の被害者だ。容疑者は5月に逮捕されたが、検察は不起訴にした。「次の被害者を出して欲しくない」との思いから、刑事では実現できなかったものの、民事での裁判を検討中だ。実は、3年前にも被害にあい、それによって希死念慮が強まった経験がある。そのため、当時は、座間市で男女9人を殺害した白石隆浩被告とTwitterでつながり、DMでやりとりしていた。

筆者の取材を受ける直美さん ©渋井哲也

「タバコ買ってあげるから、コンビニ案内して」

 事件があったのは2018年1月29日午前2時半ごろ。直美さんは、友人の家で遊んだ帰宅途中だった。自転車に乗っていると、自動車を運転している男(50代)から声をかけられた。

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「道に迷った。八潮市に行きたい。教えてもらう代わりに、タバコ買ってあげるから、コンビニ案内して」

 説明するが、わからないというので、自転車を降りて、車に乗り、途中のセブンイレブンまで行くことになった。

「(相手の男は)酒臭かったです。店では、氷結を買っていました。嫌な予感はしたんですが、どうせ家で飲むものだと思って、特に警戒はしませんでした」

 自転車を置いてきたところまで送って行く、というので、直美さんは再び、車に乗った。しかし、方向が違った。

「左ですよ」

 そう言うと、男の態度が急に悪くなった。「帰さないぞ」とも言われた。信号待ちをしているときに、車外に出ようとすると、ドアにロックをかけられた。腕をもたれていたので、スマホの操作もできずにいた。

 このとき、思い出したことがある。2017年の夏にも夜中、散歩をしていたときに、声をかけられた男に車内に連れ込まれ、レイプされたことがあった。相手は特定されたが、逮捕されていないという。

〈首吊りの道具と薬を用意してあります〉

2017年11月1日、送検される白石隆浩被告 ©文藝春秋

 この事件をきっかけに、希死念慮が強まり、自殺を考えた。そのため、Twitterで「首吊り士」というアカウントを利用していた白石被告とつながり、DMのやりとりをしている。『ルポ 平成ネット犯罪』(ちくま新書)でも取り上げたが、DMのやりとりの一部は次の通りだ。

白石 〈ご連絡ありがとうございます。神奈川に住んでおります〉
直美 〈関東一緒ですね〉
白石 〈自殺をお考えですか?〉
直美 〈はい〉
白石 〈一緒に死にますか?〉
直美 〈何歳ですか?〉
白石 〈22歳です。首吊りの道具と薬を用意してあります〉
直美 〈殺してもらえないですよね 首絞めて〉
白石 〈本気で言ってるんですか?〉
直美 〈首吊り2週間くらい前に失敗してなんかもー首吊りのやり方が失敗するとしか思えなくて〉

 その後、カカオトークにやりとりが移行するが、白石被告のタイミングで通話ができなかったためもあり、連絡が途絶えた。