Q トランプ大統領が初外遊に「嘆きの壁」を訪れたワケは?

 トランプ氏が、現職のアメリカ大統領として初めて「嘆きの壁」を訪問しました。初外遊でのふるまいが注目される中、この訪問は多くのメディアが好意的に取り上げたと思います。トランプ氏が「嘆きの壁」を初めての外遊での訪問先に選んだ意図は何だと思いますか。(40代・男・会社員)

A まさに「一石二鳥」だったからです。

 トランプ大統領は現職として初の外遊先に、サウジアラビア、イスラエル、バチカンを選びました。サミットがイタリアで開かれたので、そこへ行く途中の、この3か国を選んだのですね。

 トランプ大統領の娘のイヴァンカの夫であるジャレッド・クシュナー氏は敬虔なユダヤ教徒。結婚に際し、イヴァンカにユダヤ教徒になるように求めました。イヴァンカはラビの元に通ってユダヤ教を学び、面接試験に通ってユダヤ教徒になりました。そんな娘夫婦にしてみれば、パパにイスラエルを訪問してもらいたかったのです。

ADVERTISEMENT

「嘆きの壁」はユダヤ教徒にとって特別な場所。ということはユダヤ教の聖典「律法」が旧約聖書になっているキリスト教徒にとっても訪問する価値のある場所です。オバマ前大統領氏も、大統領就任前に訪問しています。

「嘆きの壁」を訪れるトランプ大統領 ©時事通信社

 とはいえ、イスラエルだけでは、トランプ大統領のイスラエル寄りの姿勢が露骨になってしまいます。そこで、イスラム教のサウジアラビアとキリスト教カトリックのバチカンを訪問し、ローマ法王に謁見したというわけです。

 トランプ大統領は就任直後、イスラム圏7か国からの入国を禁止する大統領令を出して顰蹙を買いました。7か国にサウジアラビアは入っていませんでしたが、イスラム圏との和解を進めるために、イスラム教の聖地メッカを擁するサウジを訪問したのです。

 サウジはアメリカに石油を売り、その金でアメリカの武器を買うという関係です。トランプ大統領はサウジを訪問することで武器売買の商談もまとめました。まさに一石二鳥だったのです。

 アメリカにはカトリック教徒も多いですから、ローマ法王に会えたことは、彼らに対するアピールにもなりました。

「○○さんに聞いてみた。」のコーナーでは、みなさまからの質問を募集しています!

質問投稿フォーム