誰からも好感を持たれるのに、なぜか女運は最悪。そんな正木誠(亀梨和也)だが、いまは美人の彼女がいる。

 ウォーターサーバー会社で営業の仕事に励む誠は、この春、静岡から東京へ異動になった。公私ともに絶好調と思えた彼の部屋に、謎の男(山下智久)が現れ「君はあの女に騙されてる」と告げる。

 そんな馬鹿な。信じない誠に、男はテレビのニュースを見せた。独身男から金を騙しとる悪質な美人局(つつもたせ)の逮捕シーンに、彼女の顔が映った。

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 なんで俺はこんなに女運が悪いのか。男は「それはね、君には“運命の人”がいるからさ」といって、見知らぬ女性の写真を見せる。どうして、そんなことがわかるの。「うーん、僕が〈神〉だから」って答えるんだけど、口調はあくまでチャライ。

 亀と山P。初回から二人のテンポよい会話が心地よい。『野ブタ。をプロデュース』から十二年。“修二と彰”が再び戻ってきた。

「ボク、運命の人です。」完成披露試写会の木村文乃 ©スポーツニッポン新聞社/時事通信フォト

 写真に写っていた女性は湖月晴子(木村文乃)。なんと誠のオフィスとは隣合わせの会社に勤めている。歳は誠と同じで、今年三十歳。晴子も男運が最悪だという。

 誠と晴子が結婚し、来年に子供ができないと、三十年後に地球は滅びちゃうよ。二人の間に生まれた天才科学者が、隕石衝突による人類滅亡を救うんだ。だから二人を結びつけるのが僕の使命なの。

 亀と山P、ナイス。でも、木村文乃も負けてない。晴子も男じゃ散々、苦労してるから、結婚には慎重だ。そこに突然「ボク、運命の人です!」と求愛する男が現れたら、警戒するのが当然だ。

 服も化粧も控え目。誠の同僚たちも「ああ、あの地味なコね」「なんか幸、薄そうな感じ」という印象しかない。だけど、いつも伏し目がちで薄幸系の彼女からは、抑圧しているが故のフェロモンが漂ってきて、目が離せない。

 五歳のとき、海水浴場で初めて手に触れ、大学入試では忘れ物をした誠に鉛筆を貸してくれた晴子。

 ご都合主義のエピソードと笑う人もいるだろうが、地球を破滅から救う伏線だから、大目に見てよ。

 亀と山Pの二人も色々あって、十二年後のユニット再結成だ。これも運命。誠の生活にあれこれ介入する山Pを観てると、『野ブタ』で修二(亀梨)に付きまとっていた彰(山下)の嬉しそうな顔が重なって懐かしい。軽妙で後味よいドラマに出会えて、この春は運が良かった。

▼『ボク、運命の人です。』
日本テレビ 土 22:00~22:54