「負けました」と言うのはやっぱり大変です
――プロの対局を観るのが好きな「観る将」ファンに聞いた話です。スマホで初心者用のコンピュータ相手に将棋をやると、王手をかけられたら教えてくれたり、駒の利きを表示する機能があるので指しやすいそうです。指導対局はそれがなくなるから、将棋をルール通りに指すだけでもハードルが高いといっていました。
佐藤 子ども大会を見ていても、王手放置と二歩の反則がけっこうありますからね。特に初級者の部だと、5局に1局はそれで勝負がつくイメージで、実際に詰まずに終わることもままあります。1手詰みが分かるのもかなりの実力なんですよ。アマ有段者でも実戦で3手詰めに気が付かないケースもありますし、羽生さんでも一手頓死したことがあるぐらいですから(笑)。
将棋はルールを覚えてから、7~8級までは難しい気がしますね。どうしても負けが込みますし、将棋は「負けました」といわないといけないゲームです。それが自分を律する意味では長所なんですけど、やはりいうのは大変ですし。
自分なりの楽しみ方で続けて、強くなるきっかけをつかめれば、あとは自然と上達していくと思うんですよ。プロの将棋を見ているとイメージは自分なりに湧くと思うので、それにヒントを得られればいいかなと思うんですけど。
――最後に、今年は東京オリンピック・パラリンピックが開催され、佐藤九段は京都で聖火ランナーを務めます。
佐藤 最初で最後の経験で、しっかり準備して臨みたいですね。実はこの前、先輩棋士とその話をしていた時に「練習したほうがいい」とアドバイスを受けました。のんびり構えていたんですけど、試しに走ってみたらすぐに息が上がってしまったんです。もう年なんですね(笑)。普段、私は走ることがあまりないので、練習しないといけません。
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最後はゲーム大会とサイン会が行われた。催し物のひとつが「黒ひげ危機一髪」。若手のとき、棋士同士で遊んだゲームだ。佐藤九段と参加者が交互に剣を樽に刺していく。午前中は全勝だった佐藤九段、残念ながら午後の部は負けが込み、黒ひげがポーンと跳ぶたびに体をビクッとさせて驚いていた。
数字当てゲームのあとは、先崎九段から10の質問。最後の「今年の将棋界は明るい?」に、佐藤九段は堂々と○を挙げた。
ぐるぐる指導将棋。10秒将棋。黒ひげ危機一髪。会長の心理読みゲーム。会長への10の質問コーナーなど、笑いの絶えない新年のスタートでした😂💕 pic.twitter.com/y9tfItOaG2
— 囲碁将棋スペース・棋樂 (@gmf1tn) January 5, 2020