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“超多忙”将棋連盟会長・佐藤康光九段が「それでもファンとの指導対局に時間を割く理由」

2020/01/26

 佐藤康光九段が日本将棋連盟会長に就任してから、2月で3年になる。会長職とプレイヤーを両立するのは難しく、研究会の時間を減らしているそうだ。竜王戦で1組、順位戦でA級の最高クラスをキープし、各棋戦での本戦進出。第一線で戦えているのは、佐藤九段の地力と独自路線の戦法で戦うスタイルがあってのことだろう。

 多忙な日々を送っているが、意外なことに佐藤九段はアマチュアとのイベントにも積極的に顔を出している。指し初め式の前日、佐藤九段の指導対局を取材した。

将棋棋士の先崎学九段、囲碁棋士の穂坂繭三段の夫妻が運営する「囲碁・将棋スペース 棋樂」で指導対局を行う佐藤康光九段

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「将棋&囲碁&麻雀」を同時に行う芸

 東京・西荻窪の「囲碁・将棋スペース 棋樂」。1月5日、佐藤康光九段は先崎学九段、貞升南女流初段と指導対局を行った。

「囲碁・将棋スペース 棋樂」は、将棋棋士の先崎学九段、囲碁棋士の穂坂繭三段の夫妻が運営している。棋士との距離が近いアットホームな雰囲気で、レッスンだけでなく、ゲストを呼んで様々なイベントを行うのが特徴だ。指導対局やサイン会、棋士同士の対局、トークショーとバラエティに富んでいる。先崎九段が将棋、囲碁、麻雀を同時に行う芸を披露したこともあった。

「同時にやるのは将棋×麻雀、将棋×将棋、将棋×囲碁もやったことがありますが、将棋だけのときがいちばんきついですね。いい手を指そうと考えてしまうから、頭を使うんですよ」(先崎九段)

 先崎九段が一味違うイベントをやるようになったのは、谷口由紀女流三段がきっかけだった。

佐藤九段も登場する、先崎九段の新刊「将棋指しの腹のうち」

「彼女と『おゆきとワイワイ』という酒を飲みながら話すイベントをやったら、面白かったんですよ。十数坪だからこそ盛り上がる、お客さんとの一体感があったんです。それから色々と考えるようになり、『聞き手はつらいよ』という女流棋士の聞き手をテーマにトークショーをやってみたら、すぐに席が埋まりました。参加できなくても、SNSでタイトルを見るだけで笑ってほしいんですよね。プロがアマチュアに楽しみ方を押し付けてもいけない。そこは長年の経験で、空間をデザインする感じです」(先崎九段)

 当日のイベントは『会長と指し初め』。指導対局、ゲーム大会、サイン会のプログラムで、午前と午後で2回行われた。