安倍晋三首相
「加計学園が良いことをやってるのだから、それを一緒にやるのは当然のこと。『持ちつ持たれつ』は印象操作だ」

BuzzFeed JAPAN 6月5日

 名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。安倍晋三首相の「腹心の友」が理事長を務める学校法人「加計学園」に関する疑惑は続いている。

 しかし、安倍首相が国会で「印象操作」という言葉を繰り返し、野党からの質問にまともに答えない姿はもはや日常の光景となった。「忖度」に続いて「印象操作」も間違いなく今年の流行語大賞にノミネートされるはずだ。

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首相は「印象操作だ」発言を繰り返した ©共同通信社

 ジャーナリストのまさのあつこ氏によると、安倍首相は今年に入ってから6つの委員会で16回も「印象操作」と発言しているという(Yahoo!個人 6月2日)。3月6日の参議院予算委員会での発言「忖度した事実がないのに、あるかのことを言うのは、典型的な印象操作なんですよ」は、「忖度」と「印象操作」がダブルで入っていて印象深い(ハフィントンポスト 3月7日)。

 その後も安倍首相の「印象操作」発言は増加の一途をたどり、6月5日の衆院決算行政監視委員会では、なんとわずか1時間に5回も「印象操作」と繰り返した(毎日新聞 6月5日)。「印象操作」と反論している間は、聞かれたことに対してまともに答えようとしていない。事実を答える前に相手を批判するだけで終わろうとしているのだ。

安倍首相の答弁「テクニック」

 5日の同委員会では玄葉光一郎委員長(民進党)から「質問に答えてください」と再三注意されて、ようやく加計学園からもらっていた報酬額を答えた。この日は「みなさんは『めくら判』ですか」と目が不自由な人への配慮を欠いた発言のおまけつきだったが、これも野党の質問とは関係のない文脈で飛び出したものだ(朝日新聞 6月5日)。

 この日、安倍昭恵首相夫人と加計学園の深い関係を提示された安倍首相は、「加計学園と昭恵夫人は持ちつ持たれつの関係だ」と指摘されると「加計学園が良いことをやってるのだから、それを一緒にやるのは当然のこと。『持ちつ持たれつ』は印象操作だ」と反論した。

 ちなみにこのとき、安倍首相は加計学園がミャンマー人留学生を「たくさん受け入れている」と述べていたが、加計孝太郎理事長と一緒にミャンマー外遊を行った2013年5月の段階で加計学園が受け入れていたミャンマー人留学生はゼロ、その後もわずか数人しか受け入れていない。事実と異なることを発言しても「印象操作」と言っておけばごまかせると思っているのだろうか。

©共同通信社

 国際医療福祉大の川上和久教授(政治心理学)は、「『印象操作だ』と言って正面から疑問に答えず、時間稼ぎをしながら野党を批判するという安倍首相のテクニックだ」と解説する(毎日新聞 6月5日)。

 慶応大学大学院教授の岸博幸氏は「国会の答弁としてはあまりに雑」と切り捨て、「加計学園の答弁にしろ、国連への感情的な反論にしろ、残念ながら長期政権で、かつ野党が弱いということもあって奢りが生まれ、適当に答弁していればいいという感じになっちゃっている」と指摘した(TOKYO FM「クロノス」6月7日)。

 北海道新聞の社説は「追及を『印象操作』とはぐらかし、議場のやじへの反論に時間を費やす首相の姿勢は、国民への誠意を欠いている」と批判(6月6日)。野党からのヤジを批判しつつ、自分も席から積極的にヤジを飛ばす安倍首相のダブルスタンダードは、もはやトレードマークと化している。5日の国会でも、野党の質問が終わると「くだらない質問で終わっちゃったね、また」と言っていた。端から国会での質問に答える気がないのだろう。