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1月20日、月曜日~1月24日、金曜日。

 ここで書くテーマはひとつなので、いっそのこと日付をまとめてしまった。順位戦、順位戦、順位戦である。

 1月22日のB級2組(https://www.shogi.or.jp/match/junni/2019/78b2/index.html)は、丸山忠久九段が全クラス通して最初の昇級を決めた。

名人2期の実績を持つ丸山忠久九段 ©共同通信社

 元名人の格、将棋に対する真摯な姿勢、もちろん地力においても妥当な結果だと思うが、年齢を重ねることで乗り越えなければいけないものが増えていく現実もある。当然はまったく当然ではないのだ。

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 かつては相手の望みを絶つ指しまわしから「激辛流」といわれた丸山将棋も、ここ数年は自ら身を投げ出すような積極的な姿勢で勝機をつかむ棋風に変わったように感じられる。

 結果が出れば新味として認められ、結果が出なければ年をとって短気になったといわれてしまう。今回の昇級は、そういう向きとの戦いにも勝った証しになる。

 昇級のもう1枠は、横山泰明七段が残り2局でマジック1。以下、近藤誠也六段、鈴木大介九段、橋本崇載八段まで可能性が残っている。2月5日に行われる次節、横山七段は田村康介七段と。鈴木-近藤の直接対決もあり、熱い一日になりそうだ。

もうひとつのA級行きの切符は……

 1月23日のB級1組(https://www.shogi.or.jp/match/junni/2019/78b1/index.html)では、菅井竜也七段(新八段)がA級昇級を決めた。星取表を見渡して、このメンバーで10勝1敗を取れる棋士がどれだけいるか。文句なしの強さである。

 B級1組は古くから昇竜の勢いの若手にとっての壁になってきた。A級に行けなかった者、行ったけれど跳ね返された者が「上で勝負したいなら俺を倒して行け」と次々に向かってくることから、「鬼の棲み家」とも呼ばれている。

 菅井八段自身もB級1組の過去2期は苦戦し、指し分け、負け越しだった。それでも自身のアイデンティティである振り飛車に磨きをかけて、今回の昇級をつかみ取った。

いち早くA級昇級を決めた菅井竜也新八段は、生粋の振り飛車党 ©共同通信社

 伝え聞くところによると、近しいファンの方に「自分の目の黒いうちにA級八段になった姿を見せて欲しい」と言われて発奮したとか。ファンとのつながりを大事にする菅井さんならではのエピソードだと思う。

 もうひとつのA級行きの切符は、3敗の斎藤慎太郎七段、行方尚史九段、千田翔太七段、そして4敗の深浦康市九段と永瀬拓矢二冠まで権利がある。最終戦の行方-千田戦、深浦-永瀬戦が関係するような展開になるかどうか。

 残留争いでは、谷川浩司九段のB級2組への降級が決まった。改めて言うまでもなく谷川九段には数多くの実績、称号があり、棋界の覇者と見られた時期も確かにあった。

 私自身、将棋に本格的に熱中しはじめた時期に谷川四冠が誕生し、谷川将棋に対する憧れはとても強かった。胸を躍らせながら年賀状を書き、思いがけず返事をもらって、比喩でもなんでもなく鼻血が出たこともあった。実に鼻粘膜の弱い少年であった。