「テレビはつまらない」「テレビ離れ」など、テレビにまつわる話にはネガティブなものが多い。
しかし、いまなお、テレビは面白い!
そんな話をテレビを愛する「テレビっ子」たちから聞いてみたいというシリーズ連載の5人目のゲストは、新日本プロレス所属のプロレスラーである獣神サンダー・ライガーさん!
テレビ創世期を代表するヒット番組が力道山のプロレス中継であるように、プロレスとテレビは切っても切り離せない関係。
自身も、大の特撮好きで知られ、プロレスのみならず数多くのテレビ番組に出演されるなど、もっともテレビに愛されたプロレスラーのひとりであるライガーさんは、意外にもドラマへの出演も少なくない。
そんな彼に「魅せる」とは何か、また、趣味として熱中している怪獣づくりなどについて、フィギュアが並ぶライガーさんのお部屋で伺った。
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猪木さんは目で試合してる。目で、表情で
――テレビ中継とかでもそうですし、大きな会場とかだとオーロラビジョンとかがあったりすると思うんですけど、それがある時とない時と、試合のやり方や意識する方向って変わりますか。
ライガー そこまでは変わりませんが、よくデビューしたての頃に先輩に言われたんですけど、リングで戦うのは毎回同じ。だけど会場が大きかったら、たとえば両国国技館とかだと上の方まで人がいる。その人たちも観てる。対して後楽園ホールのような程よい大きさの会場で上から観てる人がいる。同じ上からでも距離が全然違う。ちょこちょこやっててもリングサイドの人にしかわからない。それをどう伝えるかというのは勉強しなきゃだめだよって。それが上手だったのは(アントニオ)猪木さんだったんじゃないかと。猪木さんは目で試合してる。目で、表情で。素晴らしい、引き込まれちゃうんです。だから今でも猪木さんの、ドリー・ファンク・ジュニア戦とかビル・ロビンソン戦とかのDVD観てるとね、息するのを忘れてるんじゃないかというぐらいグーッと入り込むんですよ。それで今みたいに大歓声で、「オォーッ!」じゃない。終わったら、「はぁ……」っていう緊張感。誰かと見ていたら顔を見合わす。「はぁ、すごいね」って。こういう感じになる猪木さんの試合って、やっぱりすごいんです。付き人もさせて頂いていたので教わったことも色々ありましたね。
――目で試合するんですね。そういう意味だとマスクマンだと目が隠れてしまって不利な部分があると思いますけど。
ライガー 確かに視界が狭くなっちゃう。ほぼ下が見えないし、僕の場合、特にメッシュが入っているので。利点といえば、リングサイドにセクシーなお姉さんがいるときにそれをガン見しても視線がわからないこと(笑)。
――わははは(笑)。
ライガー それは自慢ですね。(※女性マネージャーに)何を大きくうなずいてるんだ!(笑)
『世にも奇妙な物語』で主演した「覆面」
――ところでライガーさんといえば、マスクマンでありながらドラマにもご出演されてます。初期でいえば『世にも奇妙な物語』の「覆面」(91年)という短編で主演されましたね。
ライガー はい。あれは河崎(実)監督とお付き合いをさせていただいて。そういうのをちょっとやろうかと思うんだけど、って言われたので、ぜひよろしくお願いしますって感じですね。
――プロレスラーが主演というのはテレビドラマではなかなかなかったですよね。
ライガー そうだと思います。河崎監督もよく言うと面白い人、悪く言うと変わった人です(笑)。
――どうでしたか、演じてみて。
ライガー あの時は(セリフは声優の)吹き替えですから、全部。あぁ、俺の声じゃねぇ、やっぱりなって(笑)。でも面白いんですよね、知らない世界じゃないですか。最近も真壁(刀義)が大河ドラマ(『おんな城主 直虎』)に出たりとかして。(役名が)力也役か。やっぱり彼も、すごく勉強になるって言ってます。ひとつひとつの動作が、「魅せる」という部分でプロレスと通じるものがある。さっき言ったように大きな体育館で、手がブラブラしているか、指先まで神経が通っていて、指がちゃんとした形になっているか、自分がどうなっているかというのがやっぱりあるんですよ。画になっているか。何でも勉強になりますよね。今の若い人はどんどん経験した方がいいと思う。