内田裕也と本木雅弘の違いを本木さんに聞きました
中野 これは、ぜひ文春新書『不倫』を読んでください(笑)。
内田 そこにすべて答えが書いてある?(笑)
中野 すべてを書いたつもりです(笑)。
内田 「父親が不倫や愛人に親和的」っていうフレーズは初めて聞いたんですけど、ものは言いようですね(笑)。私もちょっとそれを考えたことがあって、旦那さんに「男性として、人としても、あなたと裕也はどう違うと思うか」って聞いてみたんです。たとえてみると、本木は戦車をひとりで操縦して、その鉄の塊に守られた中から「どうぞ私には構わないでください。すいませーん、そこ通りまーす」と控えめのようでいて、実はグシャグシャに辺りのものを踏んづけていくんだそうです。私生活では特に人とコミュニケーションを取るのが苦手で、友だちも少ないですし、仕事を終えたらすぐ家に帰ってきてしまう。時間があればロンドンに行ってしまうし。
中野 戦場を想定されているんだ。
内田 人生を戦場にたとえているんですね。で、裕也の場合は、何の武装もなく、拡声器だけ持って「おーい、俺の話を聞いてくれ。俺の話は間違っていますか?」と叫ぶ。そうして人と取っ組み合いのケンカにもなるし、痛い思いもするんだけれども、相手の意見も「おもしれえな」と聞く。その結果、多くの人とシンパシーを共有する。そういう違いがあって、それは男女の関係にも通じているんじゃないかとか言っておりましたが、どうでしょうか。
内田裕也と本木雅弘はDNAが一文字違うだけ
中野 本木さん、素晴らしい見立てではないでしょうか。AVP(バソプレッシン)という、俗に「不倫遺伝子」といわれるものがあるんですよ。たったひとつ、DNAレベルでいうとたった一文字違うだけで振る舞いが変わっちゃうという。
内田 じゃあ、本木と裕也はDNAが一文字違うだけ?
中野 それがおそらく“違い”だと思います。ほんの一文字違うだけなんですけれども、何が変わってくるかというと、たったひとりの人を大事にするか、みんなを浅く広く大事にするかという違いです。
内田 うわ~。そのとおりだ。
中野 みんなを浅く広く大事にするのが、ごく大雑把にいうと、浮気をする、不倫遺伝子ですよね。