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夫婦はまるで違うから面白い

内田 うちは旦那さんと私は性格が正反対で、趣味も違うし、何から何まで違うんです。最初に出会ったのは私が15歳のときで、ほぼ初恋みたいな人と結婚した……いつの時代の話かっていう感じなんです(笑)。私には旦那さんと常に共感する、一緒であることに憧れがあったんですけど、結婚生活を重ねるにつれて、旦那さんのほうは「違うから面白いんじゃない?」ということを教えてくれた。彼にとっては何もかも同じでは発見がないというか。私は一緒になりたい。そこで何度も衝突したんですけど、でも、本当にそうだな、違うのは面白いんだってわかるようになりました。

中野 まったく一緒だったら、別にひとりでいいし。

内田 そうですよね。そういうふうにアタマでわかるようになりました。まあ、時々感情がはみ出ちゃうこともあるんですけどね。こんな回答で大丈夫でしょうか。

司会 ありがとうございます。最後に、也哉子さんからみなさまにお贈りしたい詩があるとのことです。

谷川俊太郎さん詩集「バウムクーヘン」(ナナロク社)

内田 もうそんな時間なんですね。うわ~、あっという間に時が過ぎました。勝手にまとめるようですけれど、何かトークの後の余韻というか、そういうものをお届けできるといいなと考えて、今日は谷川俊太郎さんの詩集『バウムクーヘン』(ナナロク社)から家族というテーマで3篇、朗読させていただきます。

谷川俊太郎の家族を謳った詩

「かぞく」

ぼくはチチがきらいだ とアニがいう
わたしはハハがきらい とイモウトがいう
ぼくみんなすき とオトウト

チチはみんなのためだというけど
かえってくるのは つきにいっかい
チチはだれもあいせないのよ とハハはいう

そんなことない とわたしはおもう
もうハハをあいしてないとしても
チチはわたしたちこどもをあいしている


ゆうがた アネのわたしはカレーをつくってる
ハハはまだかえってこない
アニはむっつりメールをうってる

これがいきてるってことなのかな とおもう
ライオンやちょうちょやまつのきやくらげ
みんないきてるってこういうことなのかな

谷川俊太郎さんの詩を朗読する也哉子さん

「ハハのむすめ」

わたしはハハのむすめです
つまりはバアバのまごむすめ
アネからみればイモウトですが
わたしはまだまだわたしじゃない

わたしはわたしになっていきます
まいにちまいにちすこしずつ
ハハがしってるわたしのおくに
ハハもしらないわたしがすんでる

わたしはそこではただのいきもの
わけもわからずいきているだけ
うめきもするしうたいもします
ことばにならないたましいだいて

そっくりだっていわれるけれど
わたしはハハとはちがうにんげん
でもいつかはハハになるかもしれない
わたしによくにたむすめのハハに