2月1日(土)より公開される香港映画『淪落(りんらく)の人』は、事故で半身不随となり車椅子で生活する中年男チョンウィンと、彼の世話をするフィリピン人の家政婦エヴリンとの交流劇。共に人生に失望感を味わう2人は、反発しあいながらやがて無二の存在となっていく。頑固者のチョンウィンを演じるのは、数多の出演作を持つ香港の名優アンソニー・ウォン。本作の物語に惚れ込んだ彼は、低予算であることを考慮しノーギャラでの出演を快諾。映画の完成後、数々の主演男優賞を受賞した。監督のオリヴァー・チャンは1987年生まれの新人で、これが初の長編映画。

アンソニー・ウォン

「監督からまず物語を聞き、その完成度の高さに興味を持ちました。新人だったけど僕に緊張してたなんてことは全くない。現場では可愛いおじいちゃんのように扱われて頭に来ましたよ(笑)。エヴリン役を演じたクリセル・コンサンジさんも、映画出演は初めてだけど、8歳の頃から演技経験のあるベテランだったし。僕が知るかぎり、この映画はフィリピン人の女優が初めて主役を務めた香港映画だと思う。香港はとてもコスモポリタンな街で、フィリピン人を始め、外国人がたくさん住んでいる。それなのにそういう外国人が登場する香港映画が作られないのははっきり言って恥ですよ。僕がもし監督をするなら、パキスタン人が主役の映画を作りますね。まあ僕が考える物語はどれも奇想天外なものばかりで誰も投資してくれないけど(笑)」

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 面倒見のいいチョンウィン同様、実生活の彼も「雨傘革命」以降、現在も香港で政府に抗議活動をする若者たちへの支持を表明し続けている。そのために俳優活動に支障が出ようが怯む様子はない。

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「僕はただ人間の良心に従って声をあげているだけ。それが反政府だと言うならたしかに僕は反政府的な人間なんでしょう。でも若者たちに道を示そうなんて偉そうなことは考えてもいない。人として当然のことをしてるだけですよ」

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アンソニー・ウォン(黄秋生)/1961年生まれ。85年にデビューし『八仙飯店之人肉饅頭』『ビースト・コップス 野獣刑警』『インファナル・アフェア』他数多くの映画に出演。香港を代表する演技派俳優。

INFORMATION

映画『淪落の人』
http://rinraku.musashino-k.jp/