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Soup Stock Tokyoに学ぶ「小さいことはいいことだ」の哲学

スマイルズ 遠山正道社長インタビュー #2

2017/06/27
note

地域格差がある時代だからこそ、ギャップを価値化する必要がある

――交通費はタダにしますか。

遠山 う~ん、さすがにタダというのはあれだから、10万円くらいは払わないと。そうなれば10万円以上稼げばいい。何もしないという判断もあるけど、そういうサボっている人は翌年は更新されないようにする。

――1年間特定行商人を務めれば、いろいろなところに行っていろいろな出会いを経験して、すごく成長しそうですね。

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遠山 普通のサラリーマンが「すみません、行商人になったから1年間休みます」と言ってね。それで日本中巡ってたくましくなって帰ってくる。そうすれば休ませた会社にとってもメリットがあるでしょう。

©榎本麻美/文藝春秋

――駅の片隅に特定行商人が小さなブースを作って各地の名産物を売りさばき始める……、駅に見知らぬ場所への窓口が突然出現する感じです。

遠山 地域格差がある時代だからこそ、都心と地方のギャップを価値化する必要があると思うんです。この格差のギャップをうまく生かせるようなアイデアこそ「駅」に埋まっている気がします。ウチの「檸檬ホテル」は田舎なので家賃が異常に安い。それで景色もいいし、食材もいい。400坪の檸檬畑なんて六本木ヒルズじゃ絶対にできないですけど、それが瀬戸内海の島に行ったらできる。都心と地方の格差をマイナスに捉えるのではなくて、こうやって前向きに捉えればいろいろな可能性が出てくるはずです。

――小さいブースが全国をつなぐ。15坪の小ささがスープストックの成功に繋がったお話と通じるものがありますね。

遠山 大規模にやるのは難しいけれど、個人個人で小さな規模でやるならリスクも小さくてやろうと思えばできますよ。15坪のスープの店だとできないことでも、1坪にすればかなり際立ったことができるはず。100歳まで生きるような今の時代には、こういうリスクを畳んで小さくし、その分面白いことをやっちゃう発想と行動力が大事なんだと思います。昔は「大きいことはいいことだ」って言っていたけど、この時代は「小さいことはいいことだ」なんじゃないかな、と思います。

©榎本麻美/文藝春秋
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