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2月1日、土曜日。

 棋王戦五番勝負が金沢で開幕した。中継ブログはこちら(https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/45_01/)。きっと一行は美味しいぶりしゃぶを食べたことと思う。実にうらやましい。

ぶりしゃぶは、まさに今が旬 ©︎後藤元気

 内容は渡辺棋王の地力勝ちという感じだったが、次は挑戦者の本田五段が先手番。きっと作戦巧者ぶりを見せてくれるはず。対局する当人は1局でも1秒でも早くタイトルを防衛、もしくは奪取したいと考えるのだろうが、外野としてはやっぱりフルセットが見たい。

 そんなわけで、棋王戦の第2局は本田さんに肩入れしつつ見ることになるだろう。1勝1敗のタイになった王将戦はいい感じだし、女流名人戦は谷口さんの盛り返しに期待しながら観戦する。2勝2敗、3勝3敗で迎える緊張感に満ちた最終局こそ、タイトル戦の醍醐味である。そこまで行けば、最後にどちらが勝っても納得できる。まあ私の納得など何の役にも立たないわけだけれども。

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棋王戦第1局で本田奎五段(右)に先勝し、対局を振り返る渡辺明棋王 ©︎共同通信社

2月2日、日曜日。

 日曜恒例のNHK杯戦は、ベスト8入りを決める最後の一局。▲深浦康市九段-△増田康宏六段戦だった。故・花村元司九段門下の深浦九段と、花村門下の兄弟子である森下卓九段の弟子である増田六段。一門の叔父弟子、甥弟子の関係のふたり。本局の棋譜はこちらから(https://www.nhk.or.jp/goshogi/shogi/score.html?d=20200202)。

 この将棋のハイライトはなんといっても、32手目△4四歩の飛車取りを無視して▲7一銀と切り返した場面だと思う。

 この銀打ちが成立していたのかどうか、打った深浦九段は、打たれた増田六段はどう考え、感じていたのか……等々。放映された感想戦で触れられなかった部分は、「NHK将棋講座」テキスト3月号に掲載される相崎修司さん執筆の観戦記にて(https://www.nhk-book.co.jp/list/textcategory-09191.html)。

「詰将棋創作キッズチャレンジ」は実に素晴らしい

 午後、自宅に届いた「将棋世界」3月号を読む。いつもながら内容が濃く、興味深い記事が多いため、がっちり読み始めるとすぐに朝が昼に、昼が夜になってしまう。食事を忘れ、仕事も忘れ、眠るのを忘れ、起きることすら忘れたら、私という存在はどうなってしまうのだろう。ゆっくりと将棋世界を堪能しつつ日々の営みを充実させる方法はないものか。

 そうそう、付録の「第1回詰将棋創作キッズチャレンジ」は実に素晴らしい企画ですね。こうやって蒔かれた種が、何年後何十年後にどういう花を咲かせるのだろう。

「あるといいよね」という思いつきを「よし、やってみよう!」にする力。ゼロイチはこの世でいちばん大きな差だ。

 まず表紙の手書きの投稿群の写真がいい。解説、作者のアピール、講評なども愛があふれており、読んでいてほっこりとうれしくなる。もちろん作品の質は高く、手数も判型も手ごろなので、通勤通学や散歩のお供にぴったりである。

将棋世界2020年3月号

 

マイナビ出版

2020年2月3日 発売

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