心の底からノミネートされてほしかった助演女優
――決まりとは、すごいですね(笑)。助演女優賞は『ジョジョ・ラビット』のスカーレット・ヨハンソンが『マリッジ・ストーリー』で主演女優賞にもノミネートされていたり、『ハスラーズ』のジェニファー・ロペスが入っていないことで非難されたりと話題は豊富です。
Ms.メラニー スカーレット・ヨハンソンはいままでノミネートされたことがなくて、ここで一気に二つも来た。すごいことだけど、両方とも受賞は難しいでしょう。
ジェニファー・ロペスに関しては、心の底からノミネートされてほしかった。『ハスラーズ』の彼女は本当にすごくいいんですよ。コンスタンス・ウーが主演だけど、もう全然彼女のことなんて印象に残らないくらいにジェニファー・ロペスの映画になっている。彼女はプエルトリカンのラテン系だから、人種的な面で幅を広げていくという意味でもノミネートされれば面白くなったはず。
まぁ、獲るのはローラ・ダーンでしょう。前哨戦となる他の賞でもかなり受賞しているし、彼女は全米映画俳優組合のなかでも存在感を発揮している。両親がブルース・ダーン、ダイアン・ラッドと俳優だし、キャリアも長いし、リスペクトされている点も考えて、ここらで獲るのが妥当だと思います。
女性監督がノミネートされないことの是非
――監督賞ノミネートに女性監督が皆無なことも問題視されましたが。
Ms.メラニー そのへんは難しいところで。やはり多様性は必要だと思うけど、ベストの5人が選ばれるべきだとも思う。女性だから入れなくちゃみたいなのは、それはそれで変だなと。ただ、映画業界って実は物凄い男社会で、女性の監督だと映画を作ること自体が本当に大変なんですよ。
だから、年間に作られる映画の中で女性が監督している作品は一握りしかない。絶対数が少なければ、良作の数ももちろん少ないわけです。それでは女性監督が映画を作るためにはどうしたらいいかっていったら、オスカーにノミネートされたり受賞して注目を集め、機会を広げていくしかない。男性監督と対等になる為には、女性監督はノミネートされるべきなんです。とは言え、ノミネートされる理由が女性監督だからとなると、それでいいのかって考えちゃいますよね。
――撮影賞はどうしても『1917 命をかけた伝令』のロジャー・ディーキンスに目が行ってしまいますね。
Ms.メラニー 撮影賞は、ロジャー・ディーキンスのはず。『1917 命をかけた伝令』(以下、『1917』)の“全編ワンカットに見える”撮影は、やっぱり圧倒されるんですよ。一体、どうやって撮ったんだろうと思う一方で、ちゃんとロジャー・ディーキンスならではの陰影を効かせた美しい映像世界も貫かれている。作品自体も最初のうちは映像ばかり追っているけど、いつのまにか物語に引き込まれている。このあたりは、やはり監督のサム・メンデスの力量なんだなと思いますね。