東出昌大については、ただただ痛恨である。

 私はここ数年ことあるごとに「東出君を見よ」と言ってきたからだ。

東出昌大と唐田えりか ©︎AFP/AFLO

 モデルだった東出昌大は映画『桐島、部活やめるってよ』(2012年)で俳優デビュー。観ていて不思議だった。ほぼ新人なのにそのデカさや存在感は立ってるだけで絵になったからだ。

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 かつてジャイアント馬場はアメリカで規格外の大きさ(スター性)を認められ若くして売れた。東出君を見たら「センターに立てる逸材ぶりを見ておきなさい」。馬場さんならそう言ったはずである。

 順調にスター街道を歩みだした東出昌大。

 NHK朝ドラ「ごちそうさん」ではヒロイン杏の相手役という大抜擢をうける。杏も東出もスケールの大きさは王道ドラマ感たっぷり。あのドラマは別の意味で「昭和」がテーマだったのだと思う。

杏と東出昌大 ©︎文藝春秋

 よく東出昌大の演技について揶揄する人がいるが私は腹立たしかった。そういう人はいったい芸能に何を求めているのか? 日常にはいない人物をありがたく眺めるジャンルではなかったか? 細かいことをいちいち言うなと思っていた。

リアルタイムで追っていたからこそ語れること

 しかし今回の不倫報道である。私は東出君を大目に見過ぎていたのかもしれない。

 でももっと痛恨なことがある。それは自分自身の態度についてだ。

 将来のスターを見よと言った手前、私は東出昌大の映画やドラマを追っかけていたのだが(映画の初日舞台挨拶にも行っていた)、今回告白する。

『寝ても覚めても』は観ていなかった。

 そう、唐田えりかと共演した肝心の映画は観ていなかった。劇場に足を運んでいなかった。こんなの野次馬として失格だ。

©︎文藝春秋

 真面目に言うが、リアルタイムで追っていたからこそ野次馬として語れることがある。

『あなたのことはそれほど』(TBS系)というドラマがあった。

 東出昌大は妻に浮気される役。妻を演じるのは波瑠でその浮気っぷりが凄い。 

 すると当時ネットで「波瑠批判」があってギョッとしたのだ。覚えている方もいるだろう。