中国人“排斥”集会も
同日には、ソウル市内で「中国人の入国禁止」を要求する集会も開かれた。大統領府近くの道路で保守派団体会員らが集結し、団体の代表が次のように中国を批判した。
「SARS(重症急性呼吸器症候群)、PM2.5に続き、今やウイルスまで吹き飛ばす中国のせいで、生きていけなくなってしまう。中国は有史以来、韓国の友人だったことが一度もない国だ」
このような考えは、決して一部の特殊な人々の思いではない。
大統領府が開設するオンラインの国民請願掲示板には1月下旬から「中国人の入国禁止」を要請する書き込みが相次ぎ、2週間ほどで68万人を超える賛同が集まっている。この掲示板は、20万人以上の署名が集まると政府は何らかの回答を示す必要がある。
新型コロナウイルスの混乱は、韓流アイドルにも波及している。
4月にソウル蚕室総合運動場で行われる防弾少年団(BTS)のコンサートに「中国人が大量に押し寄せてくる」という危惧から、「中国人の入場禁止」を求める書き込みがネット上に拡散しているのだ。フェイスブックには「中国人は来ないで」「会場の入場は許すな」といった、激しい投稿が相次いだ。入場禁止を求める書き込みは、ツイッターで数千回リツイートされた。
過熱する中国人排除の動きに、さすがにメディアにも批判的な報道が増え、明洞の商店では「中国人立入禁止」の張り紙を「武漢加油!(武漢頑張れ)」「韓中友好!」などと書いた紙に貼り替え始めた。だが依然として、ネット上では中国人排除の動きが燻り続けている状況だ。
なぜこれほどまでの騒動になるのか
中国発の新型コロナウイルスをめぐって、なぜ韓国はここまでの大混乱に陥ったのか。それには大きく2つの理由がある。
ひとつが、国内メディアからも「隷属的」(中央日報1月30日)とまで称される、文在寅政権の極端な「親中国」外交によって生じた、初期対応の遅れだ。