「昨日、中国人の家族4人が車に乗ってきたときには、頭に肺炎がチラついて『勘弁してくれ』と思いましたよ」(ソウル市内のタクシー運転手)
韓国でも中国発の新型コロナウイルスが猛威を振るっている。韓国を訪問した中国人は2019年には500万人にも及ぶ。国別の観光客ではトップだ。人の行き来の盛んな両国だけに、旧正月が迫った1月下旬、新型コロナウイルスの問題がニュースを賑わすと、ソウル中心部の観光地である明洞や光化門、江南に異変が起きた。
「繁華街の人通りがめっきりと減り、通行人のほとんどがマスク姿となりました。さらに、明洞などの繁華街のレストランやコンビニなどに、『中国人立入禁止』の張り紙が貼られはじめたのです」(現地記者)
「中国人立入禁止」の張り紙
飲食店の従業員らは「中国人の団体観光客がたくさん来れば、他の利用者が新型コロナウイルスに感染する可能性が高い」「食事に来た中国人一人一人に武漢から来たかどうか確認する方法はない」などと主張したが、当然ながら韓国に住む中国人たちからは反発が相次いだ。
さらに新型コロナウイルスをめぐって、中国人と韓国人の暴行事件まで発生している。
ソウル麻浦警察署によると、1月29日午前1時30分ごろ、ソウルの弘大入口駅の近くの路上で、中国人4人と韓国人3人の小競り合いが起き、双方が暴行容疑で取り調べを受けたという。
きっかけは、韓国人たちが「中国人ならマスクをつけて歩け」「肺炎をうつさずに中国へ帰れ」などと中国人に言い掛かりを付けたこと。言い争いになり、中国人の1人が韓国人に暴力を振るい、韓国人グループも中国人を取り押さえる騒ぎに発展した。