2020年代に入ったニッポン。「10年ひと昔」と言われるが、元号が平成から令和に替わり、外部環境の変化がますます加速している。夏の東京オリンピック・パラリンピックが終わると日本社会はどうなるのだろうか。
10年がたつと、いろいろなものが変わっていることに気づく。今我々が常識とか当たり前だと思っているものが、なぜそんなものがあったのか、なぜこんな呪縛にとらわれていたのだろう、と思う日がいずれやってくる。
そこで、時代の軸を10年後の2030年に移して、「なくなるもの」あるいは「なくなったほうがよいもの」を考えてみよう。
(1)企業編 ――誰もスーツを着なくなる!?
・スーツ:サラリーマンの制服ともいえたスーツは、おそらく公的な行事や一部の業種を除いてほとんど見かけなくなるだろう。すでに夏場でネクタイをしている人はほとんどいないし、お堅い職場の代表格である銀行までスーツを身に着けない現状の流れからも、10年後は世の中から姿を消しているだろう。
・新卒一括採用:この制度も高度成長期以来、決められた時期に一定数の学生を効率よく採用するには好都合だった。だが今後は、終身雇用を前提としたこの制度がなくなるであろうことは容易に想像できる。
・定年制度:社会保障制度を維持するために国は企業に定年を延長するように求めているが、流れは逆だ。企業にとって定年制度延長は“成長の足枷”にしかならない。終身雇用の終焉とともに、むしろ定年制度なるものは10年後にはなくなる、あるいはなくすべきだろう。
・経団連:1946(昭和21)年に旧経済団体連合会として発足したこの団体。高度成長期から、日本の経済成長を果たすために国にモノ申す団体として存在意義を発揮してきたが、すでに社会的な使命と役割は縮小し、形骸化している。
・連合:経団連と同様にすでに社会的役割を失っている。労働者の権利としての組合活動は職能別ユニオンに戻っていくのではないだろうか。