イラスト 中村紋子

  昨年の都知事選に続き、都議選でも小池百合子旋風が吹き荒れたわネ。小池さんは一〇二回も街頭演説に駆けつけ、行く先々で黒山の人だかり。彼女がひきあげると、当の候補者がまだ演説しているのに、聴衆もひけちゃう(笑)。

「女王様!」なんて威勢のよい掛け声もあったけれど、女王様というより「救国のジャンヌ・ダルク」のように都民には映っていたのではないかしら。古色蒼然とした都議会に新風を吹き込んでほしいという期待、そして自民党への失望と怒り。森友学園問題から加計学園獣医学部新設問題、下村元大臣への政治献金にまつわる疑惑、稲田防衛相の大失言、人格を疑う豊田衆院議員の暴言・暴行報道……と続いたものネ。

 加えて、小池知事が“都民目線”のコンセプトを明確に打ち出し、キャッチーな言葉や論理的な説明で都民のハートを掴んでいったのに引きかえ、自民党は都民の不満に寄り添う姿勢も、また都民からの共感を得るための努力や戦略も十分に示せていなかったのではないかしら。政策云々以前に、人の心を動かすための基本的なスキルすら欠けていたのでは、一票を投じる気になれないワ。

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 開票翌日に小池さんが党代表を辞任したのも賢明だと思う。敵と味方の勢力が均衡している状況なら都知事と党代表を兼ね続けてもよかったかもしれない。でも、「勝ち」が彼女ひとりに集中すると、やりにくいし、必ず逆の力が働くもの。素早く先手を打ったのはさすがの「洞察力」よね。

 ボクは特別小池シンパではないけれど、豊洲・築地両立構想には大賛成。豊洲か築地か、という二者択一ではない柔軟な発想がいいわ。一方で、都民ファには政治未経験の議員が多く、期待と共に不安もよぎる。待機児童はじめ、子育ても教育も、都政には課題山積。希望が失望へと変わらないようお願いしたいワ。