イラスト 中村紋子

 いよいよ夏休み! 遊ぶもよし学ぶもよし、子供たちには長期休暇にしかできない過ごし方を楽しんでほしい。でも早ければ来年度から、夏休みが短くなるかもしれないの。安倍総理が五月末の「教育再生実行会議」でブチあげた「キッズウィーク」構想が実現したら、の話。

 これは、夏休みなど学校の長期休暇を一部削り、その分を別の時期にまわして地域ごとに大型連休を創ろうというもの。子供の休みに合わせた親の有給取得を促し、家族で旅行に出かけ絆を深めることを推奨する政策ね。地域別の休みだから、大規模な交通渋滞も避けられる、というワケ。

 いいこと尽くめに見えるけど、この構想、そもそもの発案者は経団連の榊原会長ヨ。「観光振興」による「経済効果」が一番の狙いであることは明白。経済の活性化自体は悪いことじゃないけど、その前提ありきで議論が進むことには違和感がある。本当に子供達のためになるのかしら?

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 まず、夏休みはすでに全国的に短くなっていて、多くの学校では八月最終週から学期が始まる。更に五日削るとなると、ほとんどお盆明けから始業することに。まだ暑い盛りなのヨ! それに、たとえば夏休みで乱れた生活リズムがようやく戻ってきたころにまた大型連休、となれば子供も教員も大変。スポーツの大会など地域をまたいだ活動の計画もたてにくくなる。

 そもそも、働く日本人の有給消化率が五〇%を切っている現状では、企業に協力を促したところで親が子供に合わせて休めるのか疑問ね。プレミアムフライデーだって、ある調査によれば一五時に早帰りできたのはわずか一%台とか。派手な告知の割に全然浸透してないの。親が非正規雇用の場合などは休めば収入減につながる。子供の貧困が大問題になっている中で、なんだか非現実的な提案だと思うのはボクだけかしら。