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2020/02/09

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 経済, テクノロジー, 社会

 不要なものを捨てるのでなく、必要としている人に渡すことも否定されるべきではない。チケットについては「公式リセールサービス」が用意されることが増えている。今回の東京オリンピックについても、公式リセールサービスでの流通が予定されている。

 一方で、過去とは違い、現在の状況においては、「転売が社会の潤滑油」である、と言いづらい状況が生まれているのも事実だ。

 理由は「ネットワークサービス」になったことによる、大規模化とカジュアル化だ。

 スマホアプリ1つでいつでも売れるのは便利なものだが、気軽に転売できる市場が拡大したことで、転売のために回る商品の数が増えすぎた。また、出品する人々は個人だけではない。従来から転売やダフ行為に手を染めてきた人々も、より大規模な転売を簡単に行えるようになった。結果として、「個人によるカジュアルな転売」と「組織的な大規模な転売」の両方が活性化されてしまったのだ。

「買い占め専用ソフト」も暗躍

 人気商品やチケットの販売現場では、転売目的の業者が人を雇い、並ばせて購入する例がある。過去からあることだが、現在はそれが国際化し、まだ商品が販売されていない地域やよりニーズのある地域での転売を目的とする業者が暗躍している。

 特に中国市場向けが目立つ。店舗などでは、毎回こうした転売行為対策に、相当の労力を割いている。行列による周辺地域への影響もあり、警備や整理にかかる人的コストもバカにならない。

 オンラインショッピングの場合にはもっと深刻だ。現在は転売のために「ソフト」を使う例が増えている。人がいちいちアクセスするのではなく、ソフトウエアで機械的にアクセスすることで、人よりも有利に、一斉に注文することも不可能ではないからだ。

Amazonでも高額の出品が相次いでいる

 過去、電話を使ったチケット販売などでも、電話の自動ダイヤル機能を大規模に使った転売目的の買い占めが起きたことがある。だが、現在のソフトを使った機械的な買い占め行為は、より大規模かつ簡単に行えてしまう。

 2018年8月、不正アクセス防止技術を提供しているアカマイ・テクノロジーズは、同社の技術をチケット販売サイト運営会社・イープラスに導入した結果を公表した。