完全に広瀬アリスの回だった。この日の『アメトーーク!』は、普段のスタジオトークではなく、「本屋でマンガ大好き芸人」と題して本屋を舞台に棚に並べられたマンガを見ながらトークを展開するロケ企画。出演したのは、ケンドーコバヤシ、麒麟・川島明、有吉弘行といったマンガ好き芸人たち。その中に紅一点として、広瀬アリスがキャスティングされた。

 いわゆる番宣ゲスト枠であると同時に、マニアックな話になりすぎないように一般的な視点を入れるという役割を期待されるポジション。だが、彼女はマンガ好きだという。番組を見慣れた視聴者は、この手の趣味をアピールすることで好感度をあげようと“予習”してきたのだろうと邪推してしまう。しかし、そうではないことが次第に明らかになっていく。

©スポーツニッポン新聞社/時事通信フォト

 まず毎週買うマンガ誌を訊かれ、少女マンガ系を挙げるのかと思いきや、『ヤングジャンプ』、『ヤングマガジン』、『少年マガジン』を挙げる広瀬。ガチガチのボンクラ男子寄りのチョイスだ。さらに毎週特に楽しみにしている作品も『東京喰種(グール):re』や『彼岸島』といったクセのあるバイオレンスな匂いのするものばかり。さらに「ラブコメ系は飛ばす」というケンコバにすかさず「一緒です」と同意する。このあたりから、周りの芸人たちの彼女を見る目が変わったような感じがした。

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 単行本コーナーに行くと彼女は、『骨が腐るまで』、『今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね』などタイトルを聞くだけでかなり危ない感じがするディープなマンガを紹介しケンコバからは「危険人物」と言われる始末。

 マンガを読み始めたきっかけを語るコーナーではケンコバが「空手道場の蔵に行ったらエロ本とマンガ本があった」「なんでちんちんが固なっているのか分からなかった」といつもの調子で下ネタを語ると広瀬は思わず顔をそむける。それに珍しく本気で「しまった」というような表情を浮かべ、「すみません……」と素直に謝ってしまうケンコバ。だが、有吉も川島も芸人。定石通りセクハラトークを被せていく。「もー、やめてくださいよー」と広瀬は顔を赤らめるが、彼女にも「初めて自分で買ったマンガは?」という質問が振られるとこう答えた。

「『珍遊記』です」

 まさかのエログロナンセンスマンガを挙げ見事にオトしたのだ。こんなの好きにならずにいられない。

▼『アメトーーク!』
テレビ朝日 木 23:15~24:15