韓国ではどのメディアも映画『パラサイト 半地下の家族』祭り。アカデミー賞4冠の興奮はいまだ冷めやらない。

 非英語作品として初のアカデミー賞最高の作品賞受賞という快挙にして、さらには、脚本賞や国際長編映画賞、監督賞まで総なめした『パラサイト 半地下の家族』。昨年、カンヌでパルムドール賞を、今年1月のゴールデングローブ賞では外国語映画賞を受賞しており、韓国ではアカデミー賞への期待も高まってはいたが、「まさか、という気持ちでした」と韓国紙文化部記者は驚きを隠さない。

アカデミー賞授賞式での『パラサイト 半地下の家族』キャストとポン・ジュノ監督 ©getty

「アカデミー賞でも国際長編映画賞はとれるのではないかという淡い期待はありました。ただ、アカデミーはよく言われるとおり、“米国の賞”という趣きが強い。ですから、まさか作品賞をとれるなんて、監督自身も思ってはいなかったのではないでしょうか」

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 ポン・ジュノ監督は昨年10月の米誌『Vulture』のインタビューで、影響力が増している韓国映画がアカデミー賞候補にならないことについて聞かれると、「たいしたことではありません。オスカー賞は国際映画祭ではなく、“ローカル(な祭り)”にすぎないですから」(聯合ニュース)と一蹴。アカデミー作品賞受賞後のインタビューでも、「めったには起こらないことが起きたというのは事実でしょう」(韓国KBS)と信じられないといった気色だった。

韓国ではテレビで特集が組まれ「ポン・ジュノ」ブーム

 韓国では全国で映画の再上映が始まり、出演者の他作品がテレビで続々と放映されているが、なんといっても一躍、時の人となっているのはポン・ジュノ監督だ。過去のインタビューが掘り起こされ、大邱市の生家跡の復元話も浮上するなどポン・ジュノ本人にスポットライトが当たっている。

ポン・ジュノ監督 ©getty