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10分足らずで原画像を「加工」できた

 われわれフロントラインプレスは実際に、(1)「デジタルカメラの内蔵メモリーに保存する」、(2)「パソコンのハードディスクに保存する」という2通りの方法を用い、原画像の消去や加工ができるかどうかを数日かけて検証してみた。

 まず、問題のライトワンスメモリカードをデジカメに入れて内蔵メモリーに原画像を保存する(1)のケースを試してみた。保存後、集合写真の中から除きたい人をデジカメの編集機能でトリミングしたり、人の肌の色を調整したりした後、加工前の画像を消して加工した画像だけを別のライトワンスメモリカードにコピーして“新たな原本カード”を作ってみた。すると、10分足らずで編集できた。

 内蔵メモリー内から都合の悪い原画像を消去し、都合のよい原画像だけを別のカードにコピーすることも簡単だった。

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 さらにコンパクトカメラにSDカードを挿入せずに撮影し、その画像を内蔵メモリーに保存。内蔵メモリーの画像の中から都合の悪い画像を消去した後、カードを挿入して都合の良い画像のみをカードにコピーすることも数分程度で可能だった。

「何もない横断歩道にタイヤ痕を付ける」

(2)「パソコンのハードディスクに保存するのケース」はどうだったか。

 検証は少々勝手が違った。パソコンやカードリーダーの機種によっては原画像の消去や加工ができないケースが頻発したからだ。それでも、編集作業に対応できるカードリーダーとパソコンが判明すると、作業は順調に進んだ。

ライトワンスメモリカードの加工は容易だ。左は元の画像。右は真ん中のペットボトルを消したもの ©フロントラインプレス
横断歩道に「タイヤ痕」を付けてみた。左は元の画像。右は加工後。手前の白線の上にタイヤ痕らしいものを付けてみた ©フロントラインプレス

 検証では、まず、3本のペットボトルを写した原画像データをパソコンに保存した。その上で、加工ソフト(フォトショップ)を使って3本のうち1本を消し、加工後の画像を別のカードにコピー。時間は30分もかからない。「何もない横断歩道にタイヤ痕を付ける」といった改変もできた。原本のSDカードの画像の中から、都合の悪い画像をパソコン上で消去し、残った画像を別のカードにコピーする作業も比較的容易だった。

 ただし、複数のカメラ業者によると、パソコンを使った原画像の消去や編集は、SDカードの解析作業でその痕跡が分かる一方、デジカメの内蔵メモリーに原画像を保存して消去したり改変したりした際は、機種や手法によって何の痕跡もカードに残らないケースがあるという。