この15年間で韓国映画の市場規模は4倍以上に
その後、紆余曲折を経ながらも、「能力のある監督を可能な限り自由にさせ、フルサポートする」というシステムを確立したことで、CJエンタテイメントは成功を収め、ついにはアカデミー賞作品賞の受賞にまで辿り着いた……と同誌は分析する。また、「2019年、韓国の映画界は16・1億ドルを稼いだ。これは2004年の3・7億ドルと比べて、大きな成長」であるとも指摘している。
2015年の第88回アカデミー賞は、俳優部門にノミネートされた20人全員が白人だったことから、「#OscarsSoWhite」(白すぎるオスカー)との批判を受けた。今回の『パラサイト』の受賞は、そうした「多様性問題」からの変化の象徴とも捉えられているが、まだまだ問題点は残されていると指摘するメディアも少なくない。
22万ドルを超える“お土産”
イギリスのガーディアン紙はロイター通信の報道を引用しながら、「受賞者候補20名以上に配布された『お土産』のバッグには22万5000ドル以上の価値があった。これは史上最高額で、7万8000ドルの12日間のヨット・クルーズ、2万ドルのエステなど、中身は80点に上る」と批判。さらには『パラサイト』の制作チームに対しても、こんな指摘をしていた。
「彼らはアカデミー賞の授賞式が終わると、ソーホーハウスでのプライベート・パーティーに参加した。会員制クラブでの、自分たちだけのパーティーというのは、『パラサイト』のテーマを考えると、ある意味皮肉なものだ」
『パラサイト』の快挙はアカデミー賞の着実な変化とともに、それでも根深く残り続ける“伝統”をも浮き彫りにしたのかもしれない。