いまから7年前のきょう、2010年7月25日、内部告発文書を公開する民間のウェブサイト「ウィキリークス」が、アフガニスタン戦争に関する米軍関連の機密文書約7万5000点を公表した。公表されたのは、2004年から09年にかけての米軍の戦闘行動に関する約9万1000点の文書の一部で、大半が作戦立案や現状説明のため、現場の米兵や情報機関員らが作成した日常的な報告書だった。そのなかには、米国と同盟関係にあるはずのパキスタンの情報機関が裏でアフガンの旧支配勢力のタリバンを支援していることを示唆する情報や、民間人が犠牲になった未公表事件の記述も多数含まれていた。

 翌26日、ウィキリークス創設者であるオーストラリア人ジャーナリスト、ジュリアン・アサンジが英ロンドンで会見し、文書はすべて本物であると強調、また「すべての文書は7ヵ月以上前のもので、現在の米軍事作戦への影響はない」とした。27日には米国のオバマ大統領も、機密文書の公表についてコメントし、「個人や作戦を危険にさらしかねない」と懸念を示す一方、「文書が指摘している問題は、昨秋のアフガン政策見直しの際に検討したものと同じだ」とし、文書流出による政策への影響を否定した(『朝日新聞』2010年7月28日付夕刊)。同日には米下院で、米軍のアフガン増派にともなう戦費約330億ドルを柱とする補正予算案が可決されている。ただし、このときオバマの所属する民主党からは、公表された文書の内容を受け、戦争継続の正当性を疑問視した議員102名が反対に回った。

 この直前の2010年5月には、当時22歳の米陸軍の情報分析官が、イラク戦争で米軍ヘリが民間人を攻撃するビデオ映像などをウィキリークスに提供した容疑で逮捕されていた(このあと秘密指定の外交電報を不正に引き出した容疑で再逮捕)。今回の事件でも、文書をリークした罪でこの分析官が告発され、2013年に禁固35年の実刑判決を受けた。なお、分析官はその後、オバマ大統領が退任まぎわに発表した恩赦により、今年5月に釈放されている。

文書公開の翌日、ロンドンでの記者会見で英紙ガーディアンを掲げるジュリアン・アサンジ。文書はすべて本物だと強調した ©時事通信社