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 古い話で恐縮だが、私は大学を卒業して勤めた銀行をわずか3年で辞め、外資系コンサルティングファームに転職をした。

 外資系であっても当然、入社時には会社の様々なルールや制度の説明を受ける。それは当時の私にとってはとても新鮮かつ魅力的な内容だった。特に次の3点はそれまでの日本の会社では考えられないものだった。

・残業という概念はない(年俸制)
・いつ会社に来てもよいし、来なくてもよい
・休暇は好きなときにとってよい。暇ならどんなにとってもかまわない

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 当時の私が感じたのは、「なんてバラ色の会社に入ったことだろう。朝はどんなに寝坊してもよい、好きな時間帯に働いてよい、休暇は時期も期間も自由、年俸制もなんだかおしゃれでかっこいい」というものだった。

プロジェクトごとの「隙間」がない!

 ところが、私はその後3年間ほどこの外資系コンサルティングファームにお世話になったが、結論から言えば長期の休暇なんてとんでもない、毎晩深夜まで残業の連続だった。つまり、年俸制なので自分の時給はどんどん減っていった。

 朝は早朝からブレックファーストミーティング。一つのプロジェクトが終わってもさらに次のプロジェクトに加わる。結局、プロジェクト単位で働く社員にとっては、プロジェクトごとの「隙間」がないかぎり、休暇なんて夢のまた夢なのだった。

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 また、個々の社員は「芸者」のような存在だ。プロジェクトが立ち上がって社内でチームを組成するときに「お呼び」がかからないことには、やがておまんまの食い上げ、つまりはクビ、ということになる。スケジュールに「隙間」などが生じてしまっては、自分自身が社内で評価されずに「店晒し」になっていることと同義なので、結局休暇なんてとりようがないのだ。

 入社したときの「魅力的な会社生活」を思い描いた自分の浅はかさにあきれたものだ。

外国人社員は実に「効率よく」働く

 では一方で同じ会社で働く外国人社員たちはどうだったか。実は彼らは、私たち日本人社員以上によく働く人たちだった。時間という概念ではなく、「効率」という意味合いで彼らは実に上手に働くのだ。

 まず、朝が早い。仕事が立て込んでくると早朝から彼らはオフィスに来て働く。ランチはほとんどが「出前」だ。当時のパートナーだったドイツ人はマグロの赤身が大好物。赤身だけがのった寿司を一桶、ほとんど毎日のようにランチで食べていた。ちょっと味覚が変なのではないかと思ったが、ランチで外に出る時間も惜しんで働いていたということだ。