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「理髪業者にマスクをかけさせよ」 100年前の“感染症騒ぎ”は新型肺炎とそっくりだった?

「マスクのごときはどこの店でも品切れ続きのありさま」

2020/02/24
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肛門を縮めて感冒対策?

 ところで、当時の投稿欄のなかには「トンデモ」も散見された。

「朝日」の読者は、「僕が実行している感冒除けの法」として「肛門縮め」なるものを紹介している。いわく――。

「諸君、試みに肛門を縮めてごらんなさい。体にどんな変化が起こりますか。下腹に力がはいり、口は堅く閉ざされるでしょう。そして神からもらった鼻というマスクが働きだします。これがもっとも単純で根本的な感冒除けです。またこれを不断に実行すれば不断の健康が得られます」(1月17日朝刊3面)

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 口を閉じるのはいいとしても、この投稿者は「肛門縮め」によって、身体が肥え、胃腸病が治り、下腹が大きくなり、心まで少し締まりができたという。

※写真はイメージ ©iStock.com

 胡散臭いことこのうえないが、これを笑って済ませられるだろうか。マスクの暴騰や、マスク非使用者への非難などは、あまりに今昔で似ているからだ。

©iStock.com

 とすれば、同じような「トンデモ」が発生しないとも限らない。個々人で肛門を縮めるのは勝手だけれども、怪しげな民間療法の類には、くれぐれも注意していきたいものである。

「理髪業者にマスクをかけさせよ」 100年前の“感染症騒ぎ”は新型肺炎とそっくりだった?

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