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沼袋で55年間続く“地味なラーメン屋” 寡黙な店主が作るチャーシューメンはやはり職人技だった!

B中華を探す旅――沼袋「宝来軒」

2020/02/25

genre : ライフ, グルメ

note

「そういうの、書いたことがないから……」

 派手さは一切ない。沼袋の街のように地味である。しかし、そこがいい。取材の意図を伝え、「書かせていただいてもいいですか?」とたずねると、ご主人はなんだかソワソワして困ったご様子。どうしたんだろうと不思議に感じていたら、

「そういうの、書いたことがないから……」

 いやいや、私に書かせていただきたいんです。でも、その勘違いが憎めなくて、とても好感を持ってしまったのだった。

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「年寄りだから、あんまりお客さんが来られても困っちゃうからねえ。だから、地味にお願いします(笑)」

 娘さんのことばに、「わかりました。ありがとうございます」と答えて店を出た。そのあと、渋い外観の写真を撮影していると、引き戸がガラガラと開いて、背の小さなお婆さんがひょこんと顔を出した。

 お互いに会釈をし、それだけで別れたが、つまり、あの方がご主人の奥様なのだな。

 おとなしそうな方だったので、同じく静かなご主人と店を支えてきたのだろうと納得させられたのだった。

 

 撮影=印南敦史

INFORMATION

宝来軒
東京都中野区沼袋4-36-12
営業時間 11:00~15:00
定休日 日曜日

餃子 400円
チャーシューメン 600円

沼袋で55年間続く“地味なラーメン屋” 寡黙な店主が作るチャーシューメンはやはり職人技だった!

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