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エレベーターのボタンは指の第二関節で押す

 池袋大谷クリニック院長で呼吸器内科医の大谷義夫医師はこう語る。 

「アルコール消毒は手洗い以上に有効です。かつては私も患者さんが入れ替わるたびに30秒の手洗いをしていましたが、いまは15秒間のアルコール消毒のみとして、少し時間ができたときに念入りに水道で手を洗うようにしています」

 そんな大谷医師は「手の衛生」を考える上で、危険性が部位ごとに異なることを意識する必要があるという。

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「一番警戒が必要なのは“指”。手のひらや甲などをキレイにすることはもちろん大切ですが、目、鼻、口など、ウイルスを付けてはいけない“粘膜”に触れる機会が圧倒的に多いのは指です。アルコール消毒も、指を徹底的にキレイにするつもりで消毒すれば、自然に感染リスクも下がっていきます」

大谷義夫医師

 さらに、外出時にも「指」を守る行動を心掛けるべきだと指摘する。

「電車の吊革につかまらなければならないときは、手で握らずに手首で押さえる。レバー型のドアノブは手のひらで回す。エレベーターのボタンは指の第二関節で押す。いずれも“手”は汚染するかもしれないけれど、“指先”は守れます。もっといえば、たとえ指先は汚染されても、その指で顔を触らなければ感染はしません。とはいえ、目、鼻、口などの粘膜を触る機会が圧倒的に多いのは指先なので、リスクの高い順に守っていくべきです。

 ちなみに先日小池百合子東京都知事にお目にかかった時、感染防止のため“握手”ではなく“グータッチ”を推奨している――と話していました。とてもいい取り組みだと思います」

アルコール消毒は回答した医師のほぼ全員が行っていた ©iStock.com

医師はマスクをどう扱っているのか

 供給が追い付かずに大きな不安を招いている「マスク」を、臨床医はどのように扱っているのか。

「新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスよりもサイズが小さいので、ウイルス単体だと計算上はマスクの網を通過することになるが、飛沫の状態ならブロックできるだろうと考えて、1日2回交換している」(70代・消化器内科)

「医師がマスクをしていると患者さんも精神的に安心するので、外来の時は着用している」(40代・消化器内科)

 と、大半の医師が着用している。

 一方で、「スタッフには着用させているが、自分は置き型のウイルス除去剤だけ」(50代・泌尿器科)、「耳の遠い高齢の患者さんは医師の口の動きが見えないとコミュニケーションが取りづらくなるので付けないこともある」(40代・消化器内科)との理由からマスクをしない医師もいる。

 さらに切実なのは、「業者に頼んでも全然入荷しない。いずれ在庫が切れたら閉院も考えなければならない」(50代・耳鼻咽喉科)、「以前と違って、いまは外来診療の日は1日1枚(手術時は別)に制限されている」(50代・消化器外科)と、医療現場でのマスク不足は日々深刻化している。