1位は首都圏を東西に結んで走る中央線・総武線の系統。中央線快速も各駅停車も遅延日数は圧巻の19日。混雑率では中央線快速こそ8位だが総武線各駅停車が堂々190%超えの3位に入る。さらに中央線は代替交通手段(例えば京浜東北線の代わりに京急を使う……というようなもの)が少なく、どれだけ混もうが遅れようが耐え忍ばねばならない。それに西側から中央線快速で都心に乗り入れる場合は新宿までは途中でたくさんの乗客が降りるような駅もなく、逆に次々と乗ってくるばかりで心の休まる間もないのだ。もう、ツラさ筆頭と言って文句の付け所もあるまい。
2位は混雑率ワースト1位で遅延日数も18日の東京メトロ東西線。駅の改修やらトビラが大きくて乗降しやすい車両やら、いろいろ工夫をしているが鉄道会社側の対策はほとんど限界である。中野~三鷹間で中央線各駅停車に乗り入れている点も、ダイヤ乱れが波及しやすい点においてハイリスクと言えるだろう。
3位は武蔵小杉を通る横須賀線や湘南新宿ライン。遅延や車内の混雑もさることながら、なんのことはないごく普通の平日でも入場規制さながらの光景が日々繰り広げられる武蔵小杉駅は、初めて利用する人からみれば絶望感すら漂う。
埼京線(4位)は混雑も遅延も揃って上位。東海道線(5位)は京浜東北線や京急本線といった代替交通手段がある上に15両編成という長大編成でも191%の混雑率で遅延も多い。グリーン車が連結されているのは救いといえば救いかもしれぬが、朝ラッシュ時に乗ってみるとグリーン券を購入したけど空席がなくデッキに立っている人もいるくらいだから恐ろしい。
それでも1975年度の混雑率は“221%”だった
というわけで、いかがだろうか。もちろん他の路線も含めて首都圏の鉄道路線はどれも似たりよったりの混雑&遅延ぶり。
最後に付け加えておくと、ここ数年、克服すべき重要な社会課題のひとつとして取り上げられる機会も多い満員電車だが、実は長い目で見ればかなり改善されている。首都圏の混雑率の平均値の推移では、1975年度はなんと221%。それが2018年度には163%までになった(ここ15年ほどは横ばいで悪化はしていないが改善もされていないのだが)。また、10分以内の小規模な遅延の原因は乗降時間超過などの乗降時の要因が半分以上を占める。結局これも混雑が原因、というわけだ。ベタな結論かもしれないが、やはり満員電車の解消においては鉄道会社側の取り組みはほとんど限界。ここから先は時差通勤やテレワークなど“利用者側”の対応が必要なのだろう。
写真=鼠入昌史