2月の自動車販売台数は前年同月比で-10%と大きな落ち込みとなった。順次発表されている小売り各社の既存店売り上げも大きく減少している。2月のデータの落ち込みは事前に予想されていたが、改めて新型肺炎の感染拡大に伴う景気落ち込みの深刻さを認識させるものとなった。
そもそも新型肺炎前から日本のGDPは「マイナス6.3%」だった
すでに、日本の景気は新型肺炎の感染が広まる以前から腰折れしていたことが明らかになっている。2019年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率-6.3%と大幅に落ち込み、特に10月の家計消費は-11.5%とリーマンショック直後の2008年10-12月期を上回る減少となった。リーマンショック級の出来事が起こらなかったことで実施された消費増税であったが、結果的にリーマンショックを超える家計消費の落ち込みとなってしまった。増税前の9月に「駆け込み需要のあとにその反動が出るわけだから、駆け込みがなければ反動も出てこないだろう」との麻生財務大臣の発言があったが、大きな駆け込みが無かったにもかかわらず落ち込みははっきり出た格好となった。
政府は2月20日に発表した2月の月例経済報告で景気が「緩やかに回復している」との判断を維持した。12月の景気動向指数の基調判断はすでに5カ月連続で「悪化」となっている。その後の1月のデータが強ければ政府の景気判断維持はわからなくもないが、実際には新型肺炎の影響がまだ本格化していなかったにもかかわらず、1月の商業販売額指数は前月比-1.3%と増税後の回復がほとんどないまま減少に転じていた。
そこに新型肺炎が追いうちとなる。流行の起点となった中国では徐々に感染者数の増加が抑えられつつあるものの、まだ企業の操業は十分ではない。半導体、自動車などの製造業の集積地であり、大手日系自動車メーカーも工場を構えている武漢は依然として閉鎖状態にある。サプライチェーンへの影響は出始めており、日本国内の多くの工場では、中国からの部品供給途絶により生産調整が行われている。