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中国も十数年ぶりのマイナス成長へ

 多くの金融機関やシンクタンクが1-3月期の中国の成長率予想をそれまでの前年比+6%程度から前年比+4%程度に下方修正しているが、中国国家統計局によると中国の季節調整済前期比の成長率は2019年4-6月期が+1.6%、7-9月期が+1.4%、10-12月期が+1.5%だった。それまで前年比で+6%(前期比+1.5%程度)で安定していた中国の成長率が急に前年比で+4%近辺に落ち込むということは、1-3月期だけで見れば季節調整済前期比で-0.5%程度のマイナス成長に陥ることを意味する(+1.6+1.4+1.5-0.5=+4)。

 統計の不備から厳密には計算できないものの、中国はリーマンショックの起こった2008年の金融危機の際も前期比のマイナス成長を回避したと思われるので(手元の試算ではマイナス成長は2003年4-6月期あたりが最後のようだ)、実に十数年ぶりの前期比マイナス成長に陥る見込みだ。中国の景況感を示す2月のPMIは製造業で35.7、非製造業で29.6と拡大・縮小の境となる50を大きく割り込み、2008年の水準を大きく下回り過去最低を更新したこともこうした予想を裏付けるものとなっている。

PMI(Purchasing Managers' Index=購買担当者景気指数)。景気の方向性を示す経済指標で速報性の高さから金融市場で注目される。2月の数値はリーマンショックとも比較にならないほど落ち込んでいる

中国が2%マイナスになると日本にはどのくらい影響が出る?

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 経済産業省が発表する日中産業連関表は、最新版が2007年とかなり古いが、中国の1単位の付加価値増加が日本において0.06単位の付加価値増加を誘発するとしている。2007年と比較して中国の経済規模がおよそ4倍になっていることを考えると、仮に中国の成長率がそれまでの前期比+1.5%から-0.5%に2%ポイント減速した場合、日本には-0.48%ポイント(2%ポイント×0.06×4)程度、年率で2%近いマイナス影響がもたらされる計算となる。幅を持って見る必要はあるものの、日本の潜在成長率が+0.6%程度であることを考えると、中国景気の急減速によるインパクトは非常に大きい。