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「26度の湯で新型コロナ予防」にだまされた? 医師が教える、デマを見分ける5つのコツ

放射線科医・医療ジャーナリストの松村むつみ氏が解説

2020/03/12
note

誤った情報、偏った情報の5つの共通点

1.○○に効く、あるいは強い断定

 ネットで○○に効く、と謳っているものは誤情報の可能性が高い。医学では、治療にせよ予防にせよ「百パーセント」を謳うことができることは少なく、今回の新型コロナウイルスに至っては、まだ有効な治療法さえ確立されていない。

「効く」「予防できる」と言い切っているものは「怪しい」と考えて差し支えない。

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2.「免疫力」という魔法の言葉

「免疫力」という言葉は、インチキ癌治療などでもよく使われる言葉なので、要注意だ。たしかに、現時点で有効な治療法のない新型コロナウイルス感染症において「重症化するかどうかはその人の免疫力による」という記述は間違いではない。また、近年癌治療においても「免疫療法」の重要性は増してきている。「免疫力を高める食品」というのも、腸内細菌などの観点から確かに存在はする。

 しかし、特に食品に関しては、劇的、短期的に効果があるわけではなく、現時点においては手洗いや咳エチケット、換気などの習慣のほうが重要度は高い。「免疫力」という言葉をもとに、特定の食品などを売りつけるようなサイトの場合、まずインチキだと考えて差し支えない。また、特定の食品を摂取しようとするよりも、バランスのよい食事に睡眠を十分とることを、この時期は心がけてほしい。

 消費者庁は、予防効果を標榜するマイナスイオン発生器や健康食品など、根拠の不確かな商品について注意を呼びかけている

手洗いは非常に重要 ©iStock.com

3.陰謀論、政治的文脈

 陰謀論も、医学におけるデマの定番だ。有名なのは、予防接種の陰謀論で、「ワクチン会社と政府の陰謀によって、有害な予防接種を打たれている」というものだ。たしかに、ある種の薬剤においては、製薬会社のマーケティングが市場への影響をもたらすのは確かだが、行政が推奨する予防接種に関しては有効性が立証されている。