1ページ目から読む
3/4ページ目

「働き方を変えれば何とかなる」人たちとは……

 みんな、生活があるんですよね。仕事に対する情熱も、取り組んでいるプロジェクトの向こうにある夢も、全部いったん潰えることになる。そればかりか、いきなり来月から無職になることを強要される。つまりは、立場の弱い人たちに対して強いしわ寄せがいった挙句、どうにもならない力が彼らの生活と幸せを押しつぶすのです。

 リモートワークや時差通勤で働き方改革を、というのはコロナウイルスのおかげで否応なく進められる分野であるとしても、そういう「働き方を変えれば何とかなる」人たちと、働き方以前の問題で立ち往生している非正規雇用の人たちとの間で、社会的に起きた異変に対する免疫力がまったく異なることになります。いままでは、クレジットカードを持ちづらいとか、大きい金額のローンが組めないといった不都合だった現実は、いつのまにかどんどん階層化が深い溝になって、いままで培ってきた技術も投げ捨ててハローワークに行くしかない人たちまで出てくることになります。

©iStock.com

「フリーランスに有給」って?

 つくづく「安倍ちゃんも憲法改正を進めたり、消費税率上げる前に、社会保障改革と働き方改革で結果を出してくれていればなあ」と思うわけなんですが、実体経済がここまで急激に悪くなってしまった以上、しわ寄せが来てしまう立場の日本人を救ってほしいよなあと感じるのです。イベントが中止になり、ライブハウスもスポーツジムも商業施設も次々に閉鎖になれば、そこでバイトしたり契約で働いている人たちは真っ先に収入が途絶えます。事業者も仕事がキャンセルになってキツいが、不安定な雇われ方でいる人たちも辛い。

ADVERTISEMENT

 コロナウイルス対策が必要なことは分かる、いつまでも「ここ1、2週間が山場」と言い続けているうちに1か月が経つのも仕方がないとは感じるんですが、必要なことは事業者からはケアしてあげられないフリーランスや非正規雇用の人たちの生活を社会的にどう守るのかであって、これは政治にしかできないことだと思うんですよ。

安倍政権の対策は…… ©︎JMPA

 ところが、安倍政権は「フリーランスへの補償に意欲」と言いつつ、出てきた答弁ではフリーランスに有給を出すって言い始めて、たぶん分かってないんでしょう。まわりももっと支えてやれよと思うんですが、医学的・疫学的なコロナウイルス対策についてすら感染症対策の専門家に諮問せずに各種対策を打つ決断をしてしまった安倍晋三総理です。国民経済への破壊的な自粛要請を出す対抗策について、おそらくは労働問題の専門家を誰も起用してないんじゃないかと感じます。