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2020/03/15

source : 週刊文春デジタル

genre : エンタメ, 芸能, 読書, ライフスタイル

AV女優の延長上に「内情も出す」書く行為があった

――どういうきっかけでAV女優に憧れるようになったのでしょうか?

 先ほどの話にもありましたが、14歳のときに父親の部屋にあったAVを偶然見てしまったんですよね。不思議と汚らわしさとか嫌悪感は全く沸きあがらず、ただ、そこに映った女性に憧れたんです。「彫刻みたいできれいだな」「大人になってこういう女性になれるかな」って。高専に進学してからもその映像は自分の中に引っかかっていて、ネット検索してAV女優という仕事に行きついたんですよね。

©文藝春秋

 そのころの自分は今以上に臆病で、いろんなことを勝手に自制してしまって何にも行動に移せなかった。石橋を叩きすぎて壊してしまうくらい慎重だったんです。相手を傷つけまいと思って、どんな言葉をかけられても「これがベストだろう」という模範解答を勝手にこしらえてしまう。だからブレはないけれど、面白みも全くないんですよね。どこを切っても同じ金太郎飴みたいなそんなつまらない自分が、すごくくすぐったかった。どこかに「心の殻」を破ることで自分の違った側面を見てみたい、という思いがあった気がします。

 ただの金太郎飴から、少しでも色合いの豊かな金太郎飴になりたい――。そう思ってAV業界で日々もまれ、いろんなことに気づけたからこそ、何かを書きたいという気持ちも強くなっていったんです。AV女優はやっぱり私の原点で、その延長上に「自分の内情も出す」という書く行為があったんですよね。

――AVデビューから8年がたちます。今後はどんな表現活動を?

紗倉 AV業界は音楽業界とも少し似ていて、自分の需要が途切れたら契約が切られてしまうシビアな世界です。だから今後についても、自分の希望とは別のところで決まることもある、という自覚がある。私は需要がなくなったときに潔く去りたい、という気持ちがあるんです。今でも本当に需要があるかよくわからないんですけど(笑)。長く続けたいなあとは思いつつ、現実的にはあと数年のことかもしれない……なんて最近よく考えますね。

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 表現をすることはすごく好きなんです。ドラマや映画での表現もすごく魅力があるけれど、私は何回も推敲できる文章での表現にすごく安心感を覚えるんです。自分一人でできて、時間をかけて自分の感情を一番適切な言葉に落とし込める。そんな書くという行為が自分にとっては一番心地良いんです。同時に、才能のなさに自信を失ってしまうこともあるんですけど(笑)。

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