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2019年M-1・全員インタビュー なぜ“神回”になったか

M-1“隠れ優勝候補”インディアンスの痛恨 じつはネタ飛んだ「とてつもなく長い5秒」

M-1“隠れ優勝候補”インディアンスの痛恨 じつはネタ飛んだ「とてつもなく長い5秒」

漫才師・インディアンスインタビュー#2

2020/03/15
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田渕 決勝終わったあと、いろんな人に言われたんですよ。なんで「おっさん赤ちゃん」やらんかったん? って。あっちのネタの方が強いと思うけどな、と。僕らもめっちゃ好きなネタなんですよ。だから、なんとかしようと思って、薄~くなら伸ばせたんですけどね。ウケるところとウケへんところの差が大き過ぎて。それやったら伸ばす意味ないじゃないですか。それで3回戦に当てたんです。

――3分のネタを4分にするっていうのは簡単なことじゃないんですね。

田渕 4分と言わずとも、3分40秒ぐらいまで伸ばせたらええんですけどね。ほんまいろいろ試したんですけど、なかなかうまくいかなかったんですよね……。

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本番でネタを飛ばした経験はあった?

――これまで本番でネタを飛ばしてしまったという経験はあったんですか。

田渕 基本的にはないですね。

――客観的に見ると、飛ばしたといっても、ほんの一部だけじゃないですかとも思うのですが。

田渕 飛ばした部分の長さじゃなくて、飛ばしてしまったという事実なんですよね、でかいのは。セリフ1つ飛ばしただけで、自分の中のテンポってめっちゃ狂ってまうんですよ。

――確かに普段と比べると、言葉が通りにくいというか、少し早口になってしまっているような気はしました。

田渕 どうなんでしょうね。もう、ほとんど何も覚えてないんで。

 

――反射でしゃべっていたんですか。

田渕 頭で考えてはしゃべってないですね。身体が覚えてくれてたんだと思います。

今田さんとのトークでも切り替えられなかった

――きむさんはその後、落ち着きを取り戻されたのですか。

きむ まあ、始まる前からたぶっちゃんがかかってたんで、僕は抑え気味にいってはいるんですけど。あと、あれもあったんちゃうかって言われるんです。僕、いつも楽しく、笑いながらやってるのに、松本さんの笑ってるツッコミは好きじゃないという言葉で、ちょっと笑えなくなっちゃって。それでたぶっちゃんが飛んじゃったのかなって。

田渕 いや、そこは意識してなかったと思うで。ずっとやってきたスタイルを、そんなに簡単に変えられんやろ。

――ネタを終えて、得点発表の前に司会の今田耕司さんと話をしなければならないのも、あれはあれで大変ですよね。

田渕 すごいシステムを思いつきましたよね。ネタ終わったら、みんな一瞬で袖にはけたいという気持ちだと思いますよ。

きむ ウケたという手応えがあれば、ぜんぜんいいんですけど。ウーンというときは、聞かれても切り替えれないですよね。

 

田渕 僕らは、ボーンってウケた場面が全然なかったんで。中笑い、中笑いみたいな感じになってもうたんで。

――そのショックが顔に出てしまう?

田渕 隠し切れなかったですね。

【続き】「打ち上げで和牛・水田さんのホッとした顔が忘れられない」インディアンスが明かすM-1の裏側 へ

写真=山元茂樹/文藝春秋

インディアンス/田渕章裕(ボケ担当)ときむ(ツッコミ担当)のコンビ。田渕は1985年6月2日兵庫県出身。きむは1987年12月24日大阪府出身。大阪NSC31期の同期生。

2009年に結成。2010年に一度解散したことがあり、田渕は現ミキの昂生と「やぶれかぶれ」というコンビを組んでいた。15年、18年NHK上方漫才コンテスト準優勝。16年から拠点を東京に移す。

16年、18年にM-1準決勝進出。19年初のM-1決勝で9位に。

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