史上最高と言われる2019年のM-1。なぜあれほどの“神回”になったのか。出場した漫才師の連続インタビューでその答えに迫っていく。
初出場コンビが7組という異例の大会。GYAO!が行った優勝予想では、人気1位敗者復活組、2位かまいたち。そして3位がインディアンスだった。初出場組のなかで最も事前評価の高かった“ダークホース”。しかし決勝の舞台で信じられないことが起きる――。(全3回の2回目/#1、#3へ)
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最初は「あ、アドリブ出てる、めっちゃ調子ええやん」
――いろいろなところですでに、本番中じつはネタが飛んでしまったという失敗談をされていますが、動画を見直しても、ぱっと見、ぜんぜんわかりませんでした。
田渕 そうおっしゃられる方が多いですね。やってる僕らからすると、めちゃくちゃやってもうたという感覚だったんですけど。
――M‐1のときの動画と、他の劇場でやったときの動画、2つを並べて少しずつ見比べて、ようやくわかりました。序盤、田渕さんが「許してちょんまげ」と言ったあと、何秒か言葉が出てこなくなっていました。
田渕 そうです。あそこらへん何を言ってるかわからないじゃないですか。ああやって、次のセリフを思い出そうとしていたんです。
きむ 出だしは快調やったんです。2発目のボケで、アドリブも入れてて。あ、アドリブ出てる、めっちゃ調子ええやん、と。
M-1史上初ネタ途中で「すみませんでした」……
――ちなみにそのアドリブは、どんな内容のものだったのですか。
田渕「ごめん」って謝るところで、(合わせた手の一方、右手を前に出しながら)「3D、3D」みたいな。(手が)前に出てるよ、と。でも、普段からアドリブを入れてるから、その通りやろうと思い過ぎてアドリブを入れなきゃいけないと義務のようになってた。そんなん、もうアドリブじゃないですからね。
――田渕さんがネタを飛ばしてしまったとき、きむさんは?