史上最高と言われる2019年のM-1。何が神回を作ったのか。出演した漫才師たちへの連続インタビューで解き明かしていく。
全国的に無名だったミルクボーイが史上最高得点で初優勝。鮮烈なインパクトを残した一方、過去3度の準優勝という記録を持つ和牛が4位に終わり、大会後に「M-1卒業」を発表した。打ち上げで和牛と一緒になったというインディアンスが明かすM-1の舞台裏。(全3回の3回目/#1、#2へ)
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M-1の魔力「決勝が漫才師にとってのすべて」
――準決勝がいちばん緊張するという方もいらっしゃいますが、お2人は、決勝の方が緊張されましたか。
田渕 準決勝も、やばいっすね。ほんま。だって、あそこで決まるんですもんね。決勝でられるか、でれへんか。テンション上がってるのと緊張で、いつも息が持たないんですよ。去年も、ステージをはけた後、倒れ込みそうになりました。ネタ中、普段通り呼吸できてないんですよ。
きむ ただ、準決は順番は決まってるんで。そのやりやすさは、決勝終わってから気づきましたね。
――緊張の種類が違うわけですね。
田渕 予選と決勝は、完全に別物ですね。
きむ あと、終わって思ったんは、M‐1にあこがれ過ぎてたのかもしれんな、って。
田渕 決勝に出て、爪痕を残す。それが漫才師にとってのすべてだと思わせる力があるんですよ、M‐1って。でも、その夢に飲まれるとよくない。どうでもええんやぐらいの気持ちでいいんかも。そこはマジで勉強になりました。
2本目のミルクさんを「待ってました感」
――出番を終えたあと、最終決戦の3本も観られるような気分ではなかったですか。
田渕 いや、楽屋のモニターで見てましたね。
――3組ともあれだけウケるということも、なかなかないですよね。