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2019年M-1・全員インタビュー なぜ“神回”になったか

「打ち上げで和牛・水田さんのホッとした顔が忘れられない」インディアンスが明かすM-1の裏側

「打ち上げで和牛・水田さんのホッとした顔が忘れられない」インディアンスが明かすM-1の裏側

漫才師・インディアンスインタビュー#3

2020/03/15
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きむ 予感はあったんで。ただ、翌朝かな、昴生さんに電話して、「なんばhatch」って、いつも僕らがネタ合わせに使ってるライブハウスに来てもらって、話はしました。僕のイメージでは、昴生さんがたぶっちゃんをたぶらかして……みたいに思ってたんで。悪女にだまされた、と。なんで、「何やってくれてんですか!」みたいなことは言いました。

田渕 昴生さんが後で言ってましたけど、きむの拳がずっとプルプル震えてたらしいです。

解散して、なぜまた再結成した?

――そこまでになったコンビが、なぜ、また再結成にいたったのですか。

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田渕 翌日から、毎日のようにきむがメールを送ってくるんですよ。こんなネタ書いてみた、とか。びっくりしましたよ。こんなすぐ、しかも、こんな頻度で送ってくるか?って。こっちは組み直そうなんて、微塵も思ってないのに。無視してたら、そのうちこなくなるだろうなと思ってたんですけど、結局、ずっとメールはきてましたね。

 

――でも、田渕さんと昴生さんが組んだら、超強力ですよね。

田渕 ウケは悪くなかったんですけど、二人とも前に出たがる性格なんで、キャラがぶつかっちゃうんですよ。お互い若いから、引く技術もないし。そんなんで、このまま続けていってもいいのかなと思い始めて。その間もずっときむからはメールがきてて。そんで、こんだけメールくれるやつもおらんかと思って、昴生さんに、やっぱりきむとまたやり直しますって言ったんです。昴生さんは、すっごい男気のある方なんで、わかったって、納得してくれました。

それからも何回も解散を考えたけど……

――その経験があるから、いま、ここにいるわけですね。

田渕 正直言うと、戻ってからも、何回も解散を考えたことあるんですよ。一度解散したとき、きむもましになってるやろなという幻想を抱いてしまって。でも数カ月で人間なんて変わらないですからね。やっぱりしんどくなって、明日のネタ合わせのとき、解散を切り出そうかなとか。まあ、それを乗り越えて今にいたってるわけですけどね。

――M-1決勝の翌日は、どうされていたんですか。

田渕 渋谷の「ヨシモト∞ホール」というところでネタ合わせをしてました。僕ら、毎日、ネタ合わせしてるんですよ。きむが毎日、連絡くれるんで。だから決勝翌日も、何時に劇場集まろうぜ、って。OK、OKと。新しいアイディアなんて、なんも出てないんですけど。でも、集まってなんかしゃべるだけでも、まあ、ええかなって。そうやって、どんなときでもネタ合わせをできるのはきむのお陰ですね。

最後に田渕さんはミルクボーイの駒場孝さんからもらったという「奥さ~ん」というギャグを披露してくれた

【1回目】インディアンスが語るミルクボーイのM-1最高点「トイレまで“ウケ”の声が聞こえた」 へ

写真=山元茂樹/文藝春秋

インディアンス/田渕章裕(ボケ担当)ときむ(ツッコミ担当)のコンビ。田渕は1985年6月2日兵庫県出身。きむは1987年12月24日大阪府出身。大阪NSC31期の同期生。

2009年に結成。2010年、一度解散したことがあり、田渕は現ミキの昂生と「やぶれかぶれ」というコンビを組んでいた。15年、18年NHK上方漫才コンテスト準優勝。16年から拠点を東京に移す。

16年、18年にM-1準決勝進出。19年初のM-1決勝で9位に。

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