決勝初進出で初優勝、M-1の“神回”を演出したミルクボーイ。彼らは史上最高「681点」を叩き出した本番中にどんなことを感じていたのだろうか。

 そして歴代のチャンピオンが軒並み東京で活躍するなか、「大阪に残留する」ことを早々と宣言。「売れる気がないと思われるで」という周囲のアドバイスのなか、今回の決断に至った理由とは――?(全3回の3回目/#1#2へ)

◆◆◆

ADVERTISEMENT

五角形のところで「あ、行けるな」

――決勝1本目の「コーンフレーク」は、最初から、けっこうお客さんをつかんでましたよね。

内海 ネタに集中していたので、笑い声はそこまで聞こえてなかったと思います。あっ、行けるなと思ったのは(パッケージに印刷された栄養バランスの)五角形がでかいというところですね。それに対する僕の「あれは自分の得意な項目だけで勝負しているからやとにらんでんのよ」というツッコミがわかるかどうか。そこがこのネタの勝負の分かれ目なんですけど、けっこう(お客さんが)かかってる感じがあったんで。

2019年M-1王者ミルクボーイの駒場孝さん(左、ボケ担当)と内海崇さん(ツッコミ担当)

――あそこから、どんどん内海さんのツッコミが変になっていきますもんね。

内海 そうなんです。あそこで引かれたら、そっから全部はまらない。でも、かかってくれたら、そこからどんどんウケてく仕組みになってるんです。

――『M-1 アナザーストーリー』を観たら、審査員の松本人志さんは、内海さんが「コーンフレークは生産者さんの顔が浮かばへんのよ」と言ったとき、意外なフレーズに驚いてるような、感動してるような珍しい顔をしていて、「やべえ」ってつぶやいてましたね。

駒場 あれ、うれしかったですね。

内海 あと、松本さんの「くそー、おもろいな」という言葉も拾ってくれてましたね。

なぜミルクボーイは「笑い待ち」をしないのか

――お2人は、いわゆる「笑い待ち」をしませんよね。笑いが収まってない段階で、どんどんどんどん先に進んでいく。

内海 笑い待ちすると、笑い待ちまでしてこれから言葉を発しますよ、という雰囲気になる。そうすると、その言葉自体のハードルが上がってしまうんです。

――なるほど。そこは自分たちのペースを守っていきたい、と。

内海 もっとおもろいこと、これからたくさん言いますから静まってくださいよ、みたいな感じです。

大阪芸術大学落語研究会で出会った2人

――「コーンフレーク」のネタ時間は4分1秒。他の組がだいたいオーバーしている中、ほぼ制限時間(4分)通りでした。

駒場 へ~。それは知らなかったです。

――やはり4分ぴったりで収まるよう練習しているのですか。