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連載この鉄道がすごい

東海道新幹線700系の引退は意外に早かった? 新幹線車両の現役期間はどのくらいか

初代0系、長寿の秘密とは……

2020/03/22

genre : ライフ, 経済, , 歴史

「もう引退なの? ちょっと早くない? 昔の新幹線って、もっと長く走っていたわよ」

 この発言の主はマツコ・デラックスさんだ。

 レギュラー番組「5時に夢中!(TOKYO MXTV)」の放送中(2020年2月24日)だった。夕刊紙の記事をランキング形式で紹介するコーナーで、東海道新幹線から700系が引退という記事がランクインした。「7位で700系ネタとはシャレが効いている」「さすがマツコさん、鉄道にも詳しいな」と思いつつ、マツコさんは多くの人々が思っていることをズバッと言ってくれるから人気がある。

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 きっと多くの人々が「700系引退は早い」と思っているはずだ。

東海道新幹線から引退した700系 ©iStock.com

4年半前に告知、計画通りだった

 2020年3月1日、東海道新幹線から700系新幹線電車が引退した。先頭車が丸みを帯びて「カモノハシ」の通称とともに親しまれた。引退の告知は2015年10月に行われていた。報道資料「N700Aの追加投入について~全ての東海道新幹線が『N700Aタイプ』になります~ 」において、「平成31年度末には700系の置き換えが完了し、すべての車両が快適性、環境性能に優れた『N700Aタイプ』となり、最高速度が285km/hに統一されます」との記述がある。引退の告知から引退まで4年半の期間があった。

 JR東海は700系の引退を記念して、2月12日からヘッドマークとサイドステッカーによる車体装飾を実施、700系に乗車する旅行商品の展開や700系のイラストをあしらったグッズ販売などを展開して盛り上げた。「リニア・鉄道館(愛知県名古屋市港区)」も1月8日から700系電車引退記念企画を実施し、保存されている700系先頭車両に東海道新幹線品川駅開業を記念した「AMBITIOUS JAPAN!」キャンペーン装飾を実施した。人気グループ「TOKIO」による同名のキャンペーンソングも懐かしい。

名古屋のリニア・鉄道館に展示された歴代新幹線車両 ©iStock.com

 しかし、コロナウィルス騒動の影響で700系電車の最後は寂しかった。マツコさんの叫びのあと、リニア・鉄道館は2月29日から休館となり記念展示も中止。3月8日に運行予定だった「のぞみ315号 ありがとう東海道新幹線700系」は運休となり、引退記念式典も中止された。サヨナラ列車の中止の告知が定期列車運行終了の翌日だったから、サヨナラするつもりの日には去った後。なんとも呆気ない形で終わってしまった。