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連載この鉄道がすごい

2020/03/22

genre : ライフ, 経済, , 歴史

N700Sが第6世代、7代目などと表現が異なる理由

 東海道新幹線では、2020年7月から最新型のN700Sが運行を開始する。これは完全な新形式だ。その証拠に製造番号が1から始まる。これを8代目とするかは前述のN700Aを含めるか否かで変わる。

 じつは東海道新幹線車両の「世代観」については諸説あって、JR東海の世代観では500系を含めない。500系はJR西日本が山陽新幹線向けに作った車両、という認識だ。この考え方だと700系は第4世代、N700系は第5世代、N700Sは第6世代となる。500系を勘定するとN700Sは7代目。N700Aを勘定するとN700Sは8代目。N700Sのニュースで第6世代、7代目などと表現が異なる理由でもある。

N700Sの確認試験車 ©杉山淳一

0系は「新0系」と交代していた

 本題に戻すと、東海道新幹線で700系は21年間、0系は35年間走った。マツコさんの感想「700系の引退は早い、0系はもっと長く走った」は間違っていない。しかし、0系は長持ちだったわけではない。むしろ700系より耐用年数は短かった。

 0系の現役期間が長かった本当の理由は、「古くなった0系を、新たに作った同形式の0系と交代させたから」だ。1964年の東海道新幹線開業時にデビューした0系電車は、1976年から順次引退し、1978年に全車が新しい0系と交代した。つまり0系の運用期間は最短で12年だった。

「ダンゴ鼻」と呼ばれていた0系 ©杉山淳一

 0系電車は20年間使用すると想定していた。税制上で電車の減価償却期間は13年だ。しかし、丁寧に扱えばもっと長い間走行できる。30年、40年も使われる電車もあるくらいだ。電車の寿命は、修理コストや時代に見合う性能か否かで決まる。新幹線電車の20年は、前例なき高速運転で酷使されると想定したからだ。

 ところが、実際に走らせてみると、走行機器や車体の劣化が予想より早く進行し、12年目の全般検査を通さずに廃車することになった。全般検査はクルマでいうところの車検だ。想定より早い廃車で、新形式の開発は間に合わない。