昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/03/24

 ただその中に地元の人がいるかというとそういうわけでもなさそうで、鉄道ファンらしき人たちばかりである。ホームではテレビクルーが何やら撮影をしていたが、地元の人ではない。

復活3駅目「双葉駅」には何がある?
1998年完成の立派な双葉駅舎

 それでも駅はずいぶんと立派なもので、それもそのはず駅舎は震災より前の1998年に完成。双葉町のコミュニティー施設との合築なので町の顔らしく堂々とした面構えなのだ。駅前は今回の復活に合わせてキレイに整備され、そこではイベントなどもできるようになっているとか。そして駅の周囲も人影こそほとんどないが、夜ノ森駅や大野駅のように商店や住宅がフェンスで囲われていることもなく、自由に往来できるようだ。これは特定復興再生拠点区域として今年の3月4日から立ち入りが自由化されたから。双葉町の復興はいよいよここからスタートする、というわけである。まあ、それも端緒についたばかりだから、町の様子はフェンスがあるかないかという違いに過ぎず、大きく変わっていくのはこれからなのだろう。駅舎とは反対側の西側にも出入り口ができていて、駅前では宅地造成がいままさに始まらんとしていた。

双葉駅前はフェンスで囲われていなかった
宅地造成中の駅前西側

3年前に復活していた「浪江駅」はどうなった?

 こうして9年ぶりに列車が走り、復活した3駅を巡ってきた。最後はB級グルメ“なみえ焼きそば”でおなじみの浪江駅で終わりにしよう(焼きそばを食べたかったが訪れたのが早朝だったので開いている店はなかった)。浪江駅はいち早く2017年に営業を再開しており、それからは富岡駅と浪江駅の間で代行バスが運転されていた。その運行拠点であった浪江駅は、平屋のコンクリート造りの古い駅舎を持つ。駅前は大きな広場があって、その先には浪江の町並み。

 すでに営業再開から3年が経っていて、町の周辺も復活3駅と比べれば“生きている”感じは強い。ただそうは言っても取り壊しを待つ建物もあるし、テナントをすべて失って荒廃している雑居ビルもある。30分ほど町を歩いたが、地元の人を見かけることはなかった。

コンクリート造りの古い駅舎の「浪江駅」
「テナント募集中」と掲げられたままの駅前のビル

 東日本大震災から9年ぶりに復活した常磐線の“最後の不通区間”を巡る旅。両端の富岡駅や浪江駅は営業再開から3年経っていて、町には食事処もある。ただ、復活3駅は帰還困難区域の只中にあるような状況で、駅周辺の建物とはフェンスで隔てられたまま。途切れていた鉄道がつながって、ようやく本格的な復興への第一歩が刻まれたというのが、正しいところなのだろう。

写真=鼠入昌史

 

この記事の写真(25枚)

+全表示

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー