令和の皇后となられ、弾けるような笑顔、華やかなファッション、外国賓客に対する堂々たる振る舞いを見せられてきた雅子さま。コラムニストの矢部万紀子さんが見つめ続けた「雅子さまらしさ」とは何か。『雅子さまの笑顔 生きづらさを超えて』(幻冬舎新書)刊行を記念して、文春オンラインへの寄稿を再公開します。 (初出:2019/12/26)
雅子さま、ばえている。そう思ったのは2019年12月9日の朝だった。
雅子さまのスーツとクッション
この日、皇后雅子さまは56歳の誕生日を迎えられた。朝からテレビ各局が、宮内庁提供のビデオや写真を流していた。中でも私の目を釘付けにしたのは、雅子さまがお一人でソファーに座っている写真だった。光沢あるゴールドのスーツが華やかな雅子さまによく似合っていたが、それだけではない。ソファーに4つ並んだ明るい黄色のクッションと色調が合い、インテリアも含めたトータルコーディネートになっていた。
皇后になって初めてのお誕生日に、「スーツ+クッション」のおしゃれとは。「インスタ映えを狙った」とは申し上げないが、雅子さまの「余裕」が実感できた。素晴らしい。
と盛り上がったところで説明する。以下、全て宮内庁のホームページにあがっている写真を見て書いたものなので、色味などは実際と違う可能性のあることをあらかじめお断りしておく。 まずはこのクッション、雅子さまが46歳になられたお誕生日から、毎年、写っていた。陛下、そして愛子さまのお誕生日の写真にも映っているので、「赤坂御所の談話室に置かれている」クッションにすぎないのだろう。だから雅子さまの毎年の写真でも、「置かれている」だけの存在だった。
54歳のお誕生日から変化が
それが変わり始めたのは17年、54歳のお誕生日からだった。6月に「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が成立して半年、雅子さまはワインレッドのロングカーディガンで写真に写った。裾にプリーツが入った光る素材のもので、パンツも同じ色だった。前年までは水色やベージュなど控えめな色のお召し物ばかりだったから、一挙に写真が華やかになった。
この年の写真で、二つのことを知った。一つは、お誕生日の写真は雅子さまの体調のバロメーターだということ。もう一つは、クッションのパイピングがえんじ色に見えるということ。写真全体にまとまりが出ていて、なぜだろうとしげしげみた結果、雅子さまのお洋服の色とクッションの縁が合っているのだと気づいた。